亀田大学

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講義02 切なさとグルーヴが必須事項?

2013/4/19
ベース・マガジン5月号連動

今月も亀田印のプレイを解説!

先月から始まりましたこの連載、第1回目は、椎名林檎さんの楽曲から「本能」のイントロを抜粋し、そのフレーズの成り立ちやプレイする際のポイントを解説しました。今月は、さらに別の楽曲から、亀田ならではの"泣き"の要素の加え方、そしてうねりを作り出すポイントについて説明していきます。

「群青日和」
music by 東京事変

◎ベース・ラインの成り立ち

今回は、東京事変の1stアルバム『教育』に収録されている「群青日和」から抜粋して紹介しましょう。音使いとしては、5小節3拍目まではルートを基本とした8ピート、そして5小節4拍目から音をかけあがっていきますが、ここが"泣き"のポイントになります。コードネームとしては、普通のFなのですが、ここでは7thにあたるEbの音(6小節2拍目ウラの2弦13f)を入れています。僕の場合、この7thの音にヴィブラートを極端にかけます。ライヴで弾くとこれまた気持ちいい!
それまでは8ビートのルート弾きを刻み続けて、"津軽海峡〜!"じゃないけど、ここでコブシを効かせるんです。その"エクスタシー感"が大事なんですね。ちなみに、ベースにおけるコード感の支配力はすごくて、ほかの楽器が7thの音を鳴らしていなくても、結果的に曲全体のコード感に泣きとキャッチーさ加えているんです。これこそが僕がいつも求めている大事な要素なんですよね。

◎演奏する際のポイント

あとは、ポジショニングも大きな要素です。例えば5小節4拍目で、B♭の音を鳴らすために3弦の13fまで駆け上がっていますが、通常ならこの音は2弦8fでもOKなはずなんです。実際、アップライトならそちらのほうがセオリーに合っているでしょうし、合理的だと思います。しかし、僕の場合はここで大きく横にスライドして移動してしまう。そうすることで、さらに2弦13フレットまで登り詰めるというイメージが沸いたんです。これは僕がいつも言っていることなんです。ピッキングの正確さも大事なんだけど、これによってグルーヴにウネリが出る。こういった部分に、グルーヴの秘密があるんです......秘密っていうよりも、ただ僕が気持ちいいと思ったプレイをやっているということなんですが......(笑)。

次回「 脱・初級のベース演奏能力向上セミナー」5/19更新

好きなものを普段から口に出して言おう。(亀田)

亀田
今回の亀子の部屋でまなんちゃんとお話しして、良きパートナー=バンドメンバーを見つけるっていうことが大事かもって思ったんだけど、そのためにどうしたらいいんだろう?まなんちゃんの場合はだいちゃん(わたなべだいすけ/vo&ag)なんだろうけど、バンドを組む場合、"コイツのためなら頑張れるよ"っていう歌を歌ってくれたり歌詞を書いてくれたり、メロディを書いてくれる人がひとりいるとバンドが締まるよね。
千葉
確かに、D.W.ニコルズの場合は、私以外のメンバーもそう思っていると思いますね。
亀田
ただ、自分に合うメンバーと出会えなくて悩んでいる人もいっぱいいるよね。そのひとつの解決方法として僕がよく言っているのは、"出会えない人は外に出よう"っていうことと、"好きなものを普段から口に出して言おう"っていうことなんです。例えば、"D.W.ニコルズが好きなんだよ!"ってラジオで言った結果、こうやってまなんちゃんと出会えたわけで。好きなものを"好き"っていうふうに人に伝えていくことが大事だと思う。そうすると、自然と同じような感覚を持った人たちが自然と集まっていく。
千葉
すごくわかります。しかも、それがどうつながっていくかわからないですからね。私も以前にはいろんなバンドをやってきたんですけど、どんな層にも受け入れられるような歌を歌う人はいないかなってヴォーカルを探していたら、だいちゃんと出会って。そこから"バンドやろうよ!"っていうとことになり、"この人の歌をもっと良い形でみんなに伝えられないかな"と......その出会いは大きかったですね。当時、だいちゃんはソロでやっていたんですよ、細々と。
亀田
細々って(笑)
千葉
で、弾き語りだったんですけど、バンド編成でやったらさらに世界が広がるんじゃないかなって思って。
亀田
それは、まなんちゃんがそう思ったの?それって、プロデューサー的な視点だよね!
千葉
いやいや(笑)。もっと単純に"良い歌なのに届かないのはもったいない"っていう。もっと広い層に聴いてもらえる気がして、"バンド編成でやってみるのはどう?"って提案したという。それがバンドの成り立ちなんです。
亀田
あと、リズム体が女性っていう点も特徴だよね。
千葉
あ、そうですね。でも、狙ってそうなったわけではなくて、たまたまというか。最初は男性のドラマーだったんですけど、途中でメンバーが交代して。私とギター(鈴木健太/g)の共通の知り合いがりっちゃん(岡田梨沙/d)だったんですけど、彼女も最初はいろんなサポートをするなかで、お手伝いという形で叩いてくれて。でもすごく楽しくなってきてくれたから、D.W.ニコルズ一本になったんです。

"なるべくシンプルに、優しい音を出したいです。(千葉)

亀田
いや、D.W.ニコルズは本当に素晴らしいバンドですね。いわゆるバカテクとかではないけど、誌面でも言ったように"歌を押す"というか。そして、だいちゃんにフォーカスは当たっているんだけど"バンド全体の雰囲気として良いバンド"だなぁって思う。良いサウンドを出しているなっていう人はいっぱいいると思うけど、これは珍しいです。
千葉
あと、D.W.ニコルズを始めてから、自分のスタイルを確立していった感じはありますね。そもそも、"どういうベーシストになりたいか"ってずっとわからなくて。リスペクトしているベーシストも昔からあまりいなかったし。よく、"影響を受けたベーシストは誰ですか?"って聞かれるんですけど、"この人からすごく影響を受けた"っていうのも特になくて。じゃあ、自分はどういう感じになりたいんだろうって考えると、ぶっちゃけ、今も分かってない部分はあるんです。でも、テクニカルなことはできないっていうのは自分で理解しているから、自分の良いところを伸ばしていきたいなって、特にここ数年は思っていますね。だから、さっきも言ったような"歌"を大切にするということと"私でもやれるかも"って思ってもらえる、親近感のあるベースを弾けたらいいなって思っていて。あと、リズム体が女子ということで、その独特なグルーヴを評価してくれる人もいるから、そこは自分にしか出せない部分だと思います。それは常に意識をしているわけじゃなくて、自然に出ている部分ではあるんですけど。あと、私たち女子チームはリズムにはすごく忠実だと思うので、そこはやはり大事にしていきたい部分ですね。
亀田
良いリズム......出したいよね。
千葉
それが難しいんですけどね(笑)。
亀田
それは僕も、ライヴでもレコーディングでも常に目指してる。あと、"今のプレイ、惜しいかも!"って思っていても、あとから録音したものを聴き返すとそう悪くもなかったりする反面、演奏中にうまくノれていないときってあるよね。そのときの"立て直したい気持ち"たるや、もう......。それに、他パートもいるわけで、自分ひとりだけの音楽じゃないので、自分だけ正しいリズムを出していればいいわけじゃない。全体のなかでどうかっていう。

千葉

亀田

千葉

亀田

千葉

亀田

うんうん、そうですよね。そこが難しい。

かといって、
メンバーに合わせようとして総崩れになってしまってもいけないし。

でも、それがバチッとうまくハマッた瞬間が、いわゆる"グルーヴしている"っていうことで、一番気持ちいい瞬間だったりして。

わかるわかる。でも、これもよく僕が思っていることなんだけど、簡単にベースが弾けるって思ったことなんて、一度もないよね。

ないです、ないです。この道は永遠に続くんだなって思います。

余裕!と思って弾いたことなんて、一度もないです。

千葉
以前にも"簡単なことなんてない"って亀田さんがtwitterでおっしゃってましたよね。亀田さんはこれだけ長くベースを弾いているのに、今でもずっと練習しているじゃないですか。常に努力を続けていることがすごいなって思います。
亀田
でもさ、ベースっていう楽器って、本当に奥が深いし難しい楽器だけど、やり方によってはいろんな伝え方のできる楽器だと思うよね。
千葉
そうですよね。それこそ、歌モノのバンドをやりたいっていう思ってくれる若い人がいたら、こんな私ですけど、参考になれたら嬉しいなってすごく思います。さらに、特に女の子とか、ベースって大きいし難しそうって印象かもしれないですけど、"これなら私にも弾けるかも"って思ってもらえるようなベーシストでいたいなって思います。私は10年、20年経ってもこのスタイルは変わらないと思うんですよ、たぶん。だから今の感じでいければいいなって。
亀田
"今の感じでいければいい"って、今に自信がある人にしか言えない言葉だよね。本当に素敵だと思う。
千葉
これまでいろいろ考えたし悩んだけど、結局、ここに落ち着いた感じがあります。自分に合っているのは、こういうスタイルなのかなっていうのはなんとなく自分で気づいたので、"カッコいいことは他の人に任せた!"っていう感じがあるかもしれないです(笑)。なるべくシンプルに、優しい音を出したいです。それは常に心がけていて、歌に寄り添っていたいし、それは変わらないと思います。
亀田
なるほど。素敵なお話でした。今日はありがとうございます!

次回「亀子の部屋」5/19更新

ベース・マガジン2013年5月号 4月19日発売
http://www.rittor-music.co.jp/magazine/bm/

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