亀田大学

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講義03 ベーシストがグルーヴを作る?

2013/5/18
ベース・マガジン6月号連動

今月は亀田のファンク・サイドを分析!

第3回目となるこの連載では、毎月僕が作品に残したベース・プレイから、ひとつのフレーズをピックアップして解説していきます。今回はスガ シカオさんの「Hop Step Dive」という曲から、曲の出だしとなるフィル・インから、メインのリフまでをチョイス。プレイする際のポイントを解説していきます。ファンキーなフィル・インからファンキーなリフへ......グルーヴに気をつけながら弾いてみましょう。

「Hop Step Dive」
music by スガ シカオ
『PARADE』 Augusta Records/AUCK-11007

◎ベース・ラインの成り立ち

この曲の全体像を見てみると、ディストーションを効かせたギターが8ビートでズンズンズンって刻んでいて、ウワモノは限りなくロックなんです。それに対して、僕とドラムに関してはファンキーなリズムを提供するという。そういった成り立ちになっていますね。あとは、「Hop Step Dive」っていう曲タイトルから、ワクワクする気持ちというか、躍動感みたいなものをリズム体のグルーヴだけで出していこうと思いました。ですから、ベースとドラムだけを抜き取って聴いても、相当カッコいいんですよ!

◎演奏する際のポイント

まず、開放弦やスライドをうまく使って、音やグルーヴが途切れないようにすることがとても大切ですね。そして、曲の出だしのフィル!これは曲のアタマから緊張しますね〜(笑)。ここではA7というコードを元にフレージングしています。その和音を分解して、1拍ウラから2拍目にかけてハンマリングを入れているんですが、これがファンキーさを醸し出すポイントなんですよね。そして、開放弦を織り交ぜていますが、2小節以降の、リズムに入ってからもコードがAなので、一発目に開放弦を活用することでポジション移動の時間をかせぎ、音をスムーズにつなげるのもコツです。あと、この曲はリズムがハネているんですね。ですから、ちょっとだけスウィングする感覚で弾くとさらにファンキーな感じになります。ラリー・グラハムがチョッパーを始めたときに、親指で低音弦を叩く音がバスドラ、そして人差指で高音弦をプルするのがスネアだって解釈していたんですが、ここではプルを入れないものの、スネアの鳴るタイミングで"音を止める=ミュートする"っていう気持ちで弾きます。必ず音を止めるという意識で弾いてみましょう。

次回「 脱・初級のベース演奏能力向上セミナー」6/19更新

何が"らしさ"なんだろうって迷ったことがありました。(JOTARO)

亀田
FUNKISTは結成してどれくらい?
JOTARO
バンド自体は14年くらいになります。僕は結成時のメンバーではなくて、高校2年の頃に加入して13年目ですね。
亀田
メンバーはJOTARO君の同級生やクラスメイトなの?
JOTARO
いや、みんな僕よりも5歳くらい年上ですね。成り立ちとしては、染谷(西郷,vo)と宮田泰治(g)は、彼らが6歳の頃からの幼なじみなんです。で、もうひとりのギタリスト、ヨシロウのお兄さんがそのふたりと同級生で。あと、オガチ(Percussion)は、染谷の高校の同級生。そうやって、先輩/後輩の関係で組まれていて、僕だけはあとから加入したんです。それも、地元の音楽教室でベースを習おうかなって思ったとき、その教室と同じビルで染谷の母親がクラシック・バレエの教室をやっていて。で、フロアで会ったときに、"メンバー募集しているけど会ってみない?"って誘われて。僕はずっとバンドをやりたかったので"やります!"って即答して、すぐに会ったんです。最初は"10日後にライヴなんだけど......" "やります!" "えっ!?"みたいな感じでした(笑)。そこで"何ができるの?" "LUNA SEAなら全部覚えています!" "ボブ・マーリーって知ってる?" "わかりません!"っていうやりとりがあって(笑)。
亀田
染谷君たちは、その時点でボブ・マーリーなどの音楽に触れていたんですね。
JOTARO
そうですね。染谷の父親がプロのフラメンコのギタリストで、宮田の父親がプロのフラメンコ・ダンサーなんです。で、その父親たちは、若かりし頃、修行に行ったスペインで出会っていたらしくて。それから時を経て、その子供同士が同級生になるという、不思議な縁なんです。あと、そういった素養があるので、僕らの音楽では、スペインのビート感やガット・ギターを取り入れたりしていますね。
亀田
フラメンコも入っているんだね。今回、ベース・マガジンの記事でも話した"FUNKISTは楽しそう"っていうのは、単純にバカ騒ぎしているっていう意味じゃなくて、いわゆる、ラテン語地域のノリなど、いろんな要素が混ざっている感じがしたんです。しかも、それががむしゃらに掘り下げているっていう窮屈な感じがしないっていう......この見解は合ってますか(笑)?
JOTARO
合っています(笑)。でも、そういった部分は僕らの持ち味だったはずなんですが、一時期、パンクやメロコアのバンドと対バンするときに"もっとモッシュとかダイブをしたいのに......"っていうお客さんの反応を目の当たりにして、何が"らしさ"なんだろうって迷ったことがあったんです。
亀田
お客さんのほうが戸惑っちゃうんだね。
JOTARO
そうなんです。あとは、ストレートでロックな曲を出したときに、その曲が好きでライヴに来てくれたお客さんが、僕らのほかの曲を聴いて"あれっ?"って戸惑ったりして。それも含めて、自分たちの"らしさ"を模索した時期がありました。でも、そういった時期って、僕ら自身が音楽を楽しめてなくて。悩んだ結果、"早く弾きたい、早く聞いてもらいたい!って自分たちが感じる曲をやればいいんだ"って、考え方が開けたんです。
亀田
スカとパンク・ミュージックの融合など、いろんなジャンルの音楽が交わる醍醐味ってあるじゃないですか。深く掘り下げるよりも、そうやって広がったほうが、聴く側が楽しめる場合があるんですよね。
JOTARO
そうですね。で、僕たちのライヴを初めて観たお客さんも、一緒に手を上げてくれたり、楽しそうにニコッてしてくれるだけで僕は嬉しくて。普段聴いている音楽や好みはそれぞれあると思うんですけど、そこで楽しんでもらって、その感触が伝わったら"今日は来て良かった!"って思います。

売れたいって口に出すことは、決して恥ずかしいことじゃない。(亀田)

亀田
あと、例えどんなに小さなライヴハウスであっても、会場の心をつかめたときの喜びたるや......音楽を始めた頃は、お客さんが入っていないときもあると思うけど、踊ってくれていても、しっかり聴いてくれていても、とにかくそこでお客さんと一緒にひとつになれたときって嬉しいよね。それを感じることができるのが、ライブハウスの良さですよね。
JOTARO
そこでは、僕たちが誰なのかとか、会場の大きさも人数も関係ないんですよね。ライヴ後、物販スペースに立っていたら、ほかのバンドのTシャツを来たお客さんが来て"なんかわからないけど泣いてました"って言ってくれて"ありがとう。また来てね!"って話したこともあります。
亀田
今、JOTARO君と話をしていて、僕自身とてもタメになっています。っていうのも、自分たちのことを知らない人たちに演奏を観てもらうっていう、その初心を忘れてはいけないんですよね。常に"初心ではいたい"とは思っているんですけど、僕の場合は、僕たちのことを知らない場所でライヴをやる機会っていうのが少なくなってきていて......もちろん、若い頃はそんな機会はたくさんありましたけど、見知らぬお客さんに喜んでもらえたときの喜びであったり、うまくいかなかったときの悔しさっていうのを感じることは大事です。そして、万が一失敗したとしても、そういうときは次に良いライヴをするしかないんですよね。
JOTARO
音楽をやっている以上、そのなかで諦めずに頑張るしかないんで。でも、"次もやるぞ!"って思っていても、まったく同じ環境でプレイすることってありえないじゃないですか。だから、一回一回のライヴでしくじりたくはないと思っています。それに、僕らのことを知らなくて、たまたま来てくれた人にとっても、その瞬間から人生が変わるかもしれない。自分がそうだったように、ベースの音を聴いた瞬間に"俺も楽器やる!"って思ってもらえるかもしれないし、イヤなことがあっても、"なんとかやってみよう"って奮い立つ人もいるかもしれない。だから、やっぱり、人前に立っている以上、ヘタなことはできないですね。いろんな失敗はありますけどね(笑)。あと、今、サポートで入ってもらっているドラマーはとても教え上手なんですけど、彼のすごいところは、"お前はやればできるんだから大丈夫だ"って必ず言ってくれることで。それで救われた気がしました。さらに、昨年まではバンド内にあまり良くない空気が流れていて、ひどい状態が2年くらい続いたんです。そのなかで、"冠婚葬祭があっても休めない!"っていうほどのスケジュールで活動をしていて。でも、1ヵ月休もう!って話し合って、リフレッシュしてバンドに帰ってきたら、ホントに楽しくプレイできるようになったんです。だから、今はバンドが楽しいし、みんなの期待にも応えたい。あと、そのドラマーが良いことを言うんですよ。"お前ならできるはずだから、お前がみんなを日本武道館に連れて行くんだぞ!"って。日本武道館のステージに立ちたいっていう大きな目標に対して"出たい"とは思っているものの"連れて行く"っていう発想はなかったな、と。でも今は確かにそのとおりだと思います。
亀田
なるほど、武道館に連れて行く......か。
JOTARO
そうですね、頑張らないと!
亀田
おっ、断言しましたね! でも、これはすごく夢のある話ですよ。大きなステージに立ちたいとかビッグになりたい、もしくは売れたいって口に出すことは、決して恥ずかしいことじゃないですから。
JOTARO
今はtwitterなどのツールもありますが、やはりどんどんと外に向かって言って、繋がっていく時代だと思うので。もちろん、責任感も必要だし、恥ずかしいことはできないっていうプレッシャーを負うことになりますが、できるだけ口に出して言ったほうが、頑張るぞっていうモードになりますよね。クリックを使って家で基礎練習をしていても、東京ドームのステージでは、モニター環境がもっとボヤけるはずだから、もっと自分のグルーヴがしっかりしていないとダメだ!って自分に言い聞かせて。そうじゃないとすぐ怠けちゃうんで(笑)。
亀田
うん。言葉に出して言うことが大事っていう点と、高みを目指していくこと、あるいは具体的に"武道館や東京ドームでやりたい"っていうことを、大きな人数に向かって言える人って、すごく良いミュージシャンだと思う。僕の周りでも、音楽的にも人間的にも素晴らしくて成功していく方々って、必ずそういうことを口に出して言っています。正直に"ビッグになりたい"とか"売れたい"って発言しますし。"別に売れなくても、ひとりの人に届いてくればいい"って言っていると、結果的に誰にも届かないんですよね。また、そうやって考えることが、一生懸命練習するためのモチベーションになりますからね。素晴らしい話をありがとうございました。きっと、東京ドームのステージに立つことになるでしょう。今、JOTARO君が証言した現場、僕がその証拠を押さえましたから(笑)。

次回「亀子の部屋」6/19更新

ベース・マガジン2013年6月号 5月18日発売
http://www.rittor-music.co.jp/magazine/bm/

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