亀田大学

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講義04 自信を持って音を鳴らそう!

2013/6/19
ベース・マガジン7月号連動

亀田のベース・ラインを解説!

皆さん、こんにちは!亀田誠治です。この連載では、僕が作品に残したベース・プレイから、毎月ひとつのフレーズをピックアップして解説していきます。第4回目となる今回は、椎名林檎さんのアルバム『無罪モラトリアム』(99年)に収録されている楽曲「丸ノ内サディスティック」のベース・ソロを取り上げたいと思います。誌面で紹介されているバンドスコア・バージョンとは少し違ったプレイをお届けします!

「丸ノ内サディスティック」
music by 椎名林檎
『無罪モラトリアム』

◎ベース・ラインの成り立ち

というわけで今回紹介するのは、「丸の内サディスティック」のベース・ソロ。これは、レコーディングの現場段階で、椎名(林檎)さんから"師匠のソロが聴いてみたい"っていう提案があり、急遽レコーディングすることになったパートです。そのためテイク数も少なく、現場では"一発勝負!"といった感じで、1〜2回しか録りませんでした。
この部分の構成としては、まず導入である1小節1拍目と2小節1拍目はルート音を弾いています。というのも、このテイクを録音する段階では"ピアノとドラムとベースだけ"といったシンプルな楽器編成しか録音されていなかったため、自分が攻め込んで行くと同時に、ボトムを感じさせるソロにしないと、アンサンブルとして成立しないと思ったんです。そして5小節のCmからはコード・ストロークになります。ここでは和音をかき鳴らしています。僕のなかでイギリスのバンド、オアシスのギターのようなイメージしました。結果的にまったく違ったものになってはいますが......(笑)。

◎演奏する際のポイント

このフレーズを弾くときのポイントについて解説していきましょう。まず、この曲は全体のノリが常にハネているため、ソロを弾く際にも、その"ハネ"を意識することが大事です。特に3&4小節のハンマリング・オン&プリング・オフを繰り返す部分も、常にハネを意識してください。
ベース・ソロを弾く際の心構えとしては、"ソロ"なんですから、自分が主役だという気持ちを持つことが大事。あとは、すごく速く弾ける人もいれば、歪ませてブリブリ弾くなど、いろんなタイプのプレイヤーがいて、いろんなソロのやり方があると思います。僕の場合は、自分が何をするかって考えたときに、カッティング思い浮かべたり自分らしさを出すことを考えました。"うまく弾こう"っていう意識に囚われないこともポイントです。

次回「 脱・初級のベース演奏能力向上セミナー」7/19更新

解決策は自分で模索して見つけないといけない。(ヤマモト)

亀田
lego big morlって、バンド内でもすごく仲良いですよね?
ヤマモト
そうですね。ドラムのだいちゃん(アサカワヒロ/d)以外は高校の同級生から始まっていて、バンドを始める前から友達だったということがやっぱり大きくて。
亀田
メンバー同士の空気感が音楽にすごく影響することって、やっぱりあると思うんですよね。
ヤマモト
そうですね。ただ、プライベートではあまり喧嘩をしないんですけど、音楽的にはぶつかりたいと思っていて。やっぱり、友達だから突っ込めないみたいな部分があったとしたら、それはすごくカッコ悪いじゃないですか。もちろん友達だから一緒にやっているっていう部分もありますけれど、音楽を中心にして集まったなかで、音楽面で変に気をつかったりはしたくなくて。実際、音楽に関することで、喧嘩することはよくありますね。
亀田
ちなみに......喧嘩ってどれくらいの雰囲気の喧嘩?(笑)
ヤマモト
うーんと、例えばリハ中などで"何回やったら弾けるようになるの?"とか......そういうときって、ベース・マガジンの『亀子の部屋』でも話したように、自分自身のメンタル的な部分も大きいんですよね。で、具体的な解決策は自分で模索して見つけないといけないものなので、一時期はかなり悩みました。それこそ、前回のアルバム『Re:Union』(11年)を作ったとき、プロデュースしてくれた前田(啓介/レミオロメン)さんから"音が軽い"って言われて。
亀田
へぇー! 厳しいですね!
ヤマモト
前田さんはすごく優しいんですけど、厳しいことも言ってくれたんです。おそらく、ベーシスト人生のなかで一番の挫折を味わいましたね。でも、なかなかそういうことを言ってくれる人もいなかったんで、それはすごくタメになって。"なにくそ!"と思って家に帰ってきて練習するって、今までそんなになかったので。
亀田
前田さんから教わったことで印象に残ったことは?
ヤマモト
その時は曲作りの段階から前田さんに来てもらっていたんですけど、例えばその曲のキーをチェンジしたとき、それに対して即座に対応できなくて、ついていけないことがあって。そういったことに対して言われた"曲の鮮度が落ちる"って言葉が印象的でした。確かに僕らの場合、作り始めた曲を何回も何回もアレンジを変えるので、ひとつの曲に対する制作期間が長引くっていうことがよくあったんです。で、前田さんが言う"鮮度"っていうのは、"今、みんなのプレイがこう来てるんだから、それに対してすぐ自分が対応しないと曲の鮮度がなくなる"っていうことで、確かに!って思って。
亀田
それって具体的に言うと、"ヴォーカルのキーに合わせてFの曲をEでやろう"とか、そういうときに起こる話のこと?

ヤマモト


亀田

それもありますね。単純なルート音だけのフレーズなら全然ついていけると思うんですけど、複雑なフレーズでキーが変わったときに、全然ついていけなくなることもあって。

うんうん。僕だったら即座にベース本体のチューニングを変えますね。何食わぬ顔で"半音下げまーす"って(笑)。それも前田さんと同じ考え方で、やはり鮮度を落とさないことが大事だと思うからなんです。その場で"今、何が行なわれているか"っていうことに対応するために、半音くらいだったら、ホントに楽器のチューニングを変えたっていい。良い空気、良い流れのなかで作り上げるってことを、前田君が教えてくれたかもしれないですね。

ヤマモト
そうですね。で、僕が3日間くらいかけて考えたフレーズを、前田さんが譜面だけ見てその曲を通して弾いたうえに、ものすごいフレーズを織り込んだりするんですよ。"もう参った!"と思って。弾ける人は初見でもこんなに弾けるんだなって、すごいヘコみましたね。いやホントにね、まずバンドを取られるんじゃないかと思うぐらい怖かったですね、その頃は。でも、そのレコーディングでは合宿もしたんですけど、次の日から、毎朝一緒に練習に付き合ってくれて、練習の方法も含めて、すごく熱心に教えてくれたんです。スタジオ・ミュージシャンも経験している前田さんの、基礎的な部分や練習方法を教えてくれて。

時間がかかってしまうのも、実は案外悪くない。(亀田)

亀田
そういったことを経て、今はモヤモヤから晴れ間に向かっている?
ヤマモト
そうですね。もちろん、今も同じ内容で悩んでたりするんですけれど、結局、"何を考えているのかわからない"っていうことが、メンバーを不安にさせるんですよ。だからすごく良いものは"良い!"って言うし、わからないときは"わからない"って言う。僕に対しても、なるべくはっきり言ってほしいですね。そういう意味でも、"じゃあ、こっちのアイディアはどう?"って何かを提案できるような、そして主張できるような引き出しをメンバー間で常に持ち続けたいんです。
亀田
なるほど。さっき、シンタロウ君が言っていた"時間がかかってしまう"ことに関してなんですが、時間がかかってしまうのも、実は案外悪くないと思うんですよね。それはなぜかというと、時間をかけることによって、メンバーと会話をしますよね? で、会話をすることを積み重ねることで、単にその曲を弾くことだけじゃなくて、もっと他の部分で膨らんでるものがあると思うんです。あとは、初見で弾けなくても、一生懸命覚えて練習することで、その曲に対する"思い"みたいなものは注入されるんですよね。以前、椎名(林檎)さんから言われたのは、かみ砕くっていう作業があることが、東京事変の良さだっていうことだったんです。そのバンドのために、メンバーが一生懸命フレーズを考えて、時間をかけたり紆余曲折して、何とおりもアレンジを試して結局戻ってくる、みたいなことも経験するっていう。そうやって楽曲をアレンジするなかで"途中で生まれた、あのパンク・バージョンはなんだったんだ......"とか(笑)、ビート自体が変わっちゃうみたいなこともあって。でも、それを経ることによって、メンバー同士の結びつきやその曲に対する思い入れ、あとは歌詞が乗った時にどういう風にアプローチするかっていうことが変わってくるんです。もちろん、歌い手としては、一流のセッション・ミュージシャンの方々が伴奏をつけてくれる気持ち良さっていうのもあって、それはそれで最高の喜びなんだけど、バンドのなかでひとつひとつ重ねていって、時間がかかって出来上がっていく良さもあるって椎名さんは言っていて。それは僕も同感だったんです。
ヤマモト
確かに。
亀田
逆に言うと、それがバンドの強みっていうか。結局、バンド感って何?っていうと、メンバーが同じ方向を向いているかどうかだと僕は常々思っているんです。一方、どんなに個々にテクニックがあっても、みんなが同じ方向を向いていない時がある。曲に対して同じ思いを持ってなかったり、もしくはどこかで"こんなもんでしょ"みたいな感じで、誰かひとりでもいたりすると、やっぱりバンド感がないんですよね。
ヤマモト
わかりますね、それ。
亀田
ステージの上で駆け回ったり暴れ回ったりすることだけが"バンドっぽい"んじゃなくて、もっと手前の、気持ちの部分で同じところを向いていることが大事だと思うんです。だから、lego big morlが作品を作ることによって歩んできた道っていうのも、ものすごく理解できるし、正しい道だったと思います。時間がかかったり、話し合った分だけ得たものはある。曲単位の話じゃなくて、もっと大きな意味で、バンドの運命というか未来に対して得たものがあったのは間違いないですね。

次回「亀子の部屋」7/19更新

ベース・マガジン2013年7月号 6月19日発売
http://www.rittor-music.co.jp/magazine/bm/

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