亀田大学

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講義05 グルーヴを作り出す醍醐味!

2013/7/19
ベース・マガジン8月号連動

亀田のベース・ラインを解説!

皆さん、こんにちは!亀田誠治です。第5回目となるこの連載では、毎月僕が作品に残したベース・プレイから、ひとつのフレーズをピックアップして解説していきます。今回は平井堅さんが2005年に発表したヒットソング「POP STAR」から、楽曲のグルーヴを左右するスラップのフレーズを紹介、演奏する際のポイントを解説しましょう。音を切るタイミングによってグルーヴは大きく変化します。その醍醐味を感じてください!

「POP STAR」
music by 平井堅
『FAKIN' POP』 DefSTAR RECORDS/DFCL-1500

◎ベース・ラインの成り立ち

この曲はリズムが打ち込みなんですが、それに対してベースがどうアプローチしようかっていうことをまず考えました。そして"平井堅"というシンガーが持つ、ポップ性とR&B的な解釈をどのようにミクスチャーさせるかって考えたとき、ベースがスラップすればコンセプトがすごく明快になるのでは?と思ったんです。8ビートの曲ですが、ロック・サウンドに仕立てるのではなく、スラップすることで16ビートのノリも感じさせたかった。あと、「POP STAR」っていうタイトルからも、ポップでカラフルな作品にしたかったし、しかもハジけた印象にするためにスラップを選んだっていう点も大きいですね。

◎演奏する際のポイント

まずは、テンポが =140という速めの8ビートのなかで、スラップをどのようにいれていくかっていうことがポイントです。そのなかで、ルートを弾くときは、一音一音をスタッカートさせて、音を切る(=ミュートする)ことが重要!逆に音を切らないと、ハズむような感じが出ないんです。具体的には左手の指を一音ごとに浮かせて音を切るのですが、この"音を切る"というテクニックがすごく難しいと思います。僕の場合、ひたすらルートを弾き続けて音を切る練習をしていました。しかも、人差指→中指→薬指→小指と、どの指で押弦したときにも音を均等に切ることができるように練習しておくことが大事ですね。このミュートをマスターすれば、ベースの演奏がより楽しくなるでしょう。

次回「 脱・初級のベース演奏能力向上セミナー」8/19更新

"歌を歌うお前が言うなら信じよう"って良い状況だと思います。(亀田)

亀田
N.Y&Bicycle(ニューヨークと自転車、以下ニューチャリ)は結成して何年目なんですか?
西原
バンド自体は3年目で、僕が入って1年半ですね。バンド内での年の差があって、ヴォーカルが一番若いんです。大和(幸田大和:こうだやまと/vo,g)はまだ20代半ばなんですが、その頃って人生で一番悩む時期でもあると思うんです。で、周りのメンバーはその時代を通過した3人だから"あっ、その葛藤、わかる"って感じることもあって。その姿をバンドのメンバーが見守っているというか。
亀田
わかるなぁ、その気持ち。東京事変では僕だけひと回り上の世代でしたからね(笑)。
西原
でも実際、大和は精神面ですごくしっかりしてるんですよ。
亀田
それもいいことです。ヴォーカリストが自分の考えを持っていて"歌を歌うお前が言うなら信じよう"って周りが言えるような状況って、バンドにとって良いことだと思います。ちなみに、西原さんはニューチャリに加入するまでの期間はどんな活動を?
西原
いろんなアーティストのサポートをしてました。あとはジャズやファンクのセッションなどをやっていましたね。僕は元々関西に住んでいたんですけど、音楽を続けたいって思ったときに、じゃあ東京に出ようということで、知り合いやツテもないなか、上京してきたんです。
亀田
ベース一本、背中に背負って出てきたんですね。
西原
音楽のシーンについては、なんの知識もない状態だったんですが、出たとこ勝負、みたいに思っていました。で、音楽とは別の話になってしまうんですけど、東京に出てきてから、まず"100万円貯めよう!"と思って。資金を貯めてから、1年間くらい音楽だけに没頭しようと考えたんですよ。だから、上京してから半年、昼夜問わずバイトして100万貯めたんです。それが24歳くらいの頃ですね。でも結局、その100万円はすぐ使い切ってしまって(笑)。
亀田
音楽に投下できなかったんだ(笑)。
西原
やっぱり、家賃も高いわけじゃないですか、東京って。それに、あればあるぶん、友達に奢っちゃったりして(笑)。
亀田
日々の生活で終わっちゃったんですね。でも、バイトを辞めていた期間は練習できたんですよね?
西原
練習はしました。ただし、やっぱりベースってアンサンブルの楽器だから、ひとりでストイックに練習していると、変にこう......落ちていってしまったんですね。特にひとりでの練習方法もわからないから、ただ落ちていく感じというか。まるで目的のないトレーニングをしているような感じで。楽曲がありきで、楽曲のためのテクニックっていうものだったら上向きになって良い方向になると思うんですけどね。手を動かすだけの、フィジカルな部分だけに意識がいってしまって。
亀田
そこで、バンドをやりたくなってきた?
西原
そうですね。東京で知り合った友達の紹介で、サイケデリックなバンドをやったりしていました。とはいえ、実はバンドマンとしてはあまり活動したくなかったんです。
亀田
バンドマンとしてはやりたくない......それはどうして?
西原
あくまで"ベースでやっていきたい"っていう変な固執があったんですよね。"プロのミュージシャンでいたい"、みたいな。
亀田
プロになりたい、と。そういう意味では、僕の20代前半の頃とすごく似ていますね。バンドがやりたくないとまでは思ってなかったけど、僕も20代前半は、とにかくプロになってベーシストとして活動していきたい、プロのミュージシャンになるにはどうすればいいんだろう?っていうことに対して費やしていたので。ただ、フィジカルな練習は大好きでした(笑)。それこそ、食事の時間もパンをくわえながらベースを弾いていましたし、度胸をつけるために、ベースをケースに入れないで抱えて電車に乗って。で、電車のなかで練習をしたり......もちろん満員電車ではないですよ(笑)! あと、イヤフォンを装着して、周りからはウォークマンを聴いてるようにしか見えないんだけど、BOSSのドクター・ビートっていう多機能メトロノームをピコピコ鳴らして聴いてたりとか......そういうフィジカルかつストイックなことが大好きで。もうね、正直、彼女や周りからは変人扱い(笑)。"あんた大丈夫!?"みたいな感じでした。その狙いは、"楽器を弾く"っていう行為を、自転車を漕ぐとか息を吸うみたいに、日常的にしたかったんです。とにかく何も考えなくても無意識で弾けるようになりたかった。そのためには、日常のいろんなシーンでベースを触っておくべきなんじゃないかっていう発想だったんです。24歳の終わりまではアマチュアとして活動していて、一方では宅録でアレンジもやっていたんですが、ベースに関してはずっとそういった付き合い方でしたね。

人と合わせることが一番の練習方法だと思っていた。(西原)

西原
亀田さんがベースを始めたのはいつ頃ですか?
亀田
中学2年の終わり頃ですね。でも、受験の時期はベースをケースにしまって、受験勉強に没頭していました。
西原
ベースには手を触れず、受験に集中したんですね。
亀田
とにかく、ストイックなんですよね。弾きはじめたらベースに没頭しちゃうんで、"気分転換"っていう気分では弾けないのは自分でも理解していて。
西原
なるほど。僕は小さい頃からピアノをやってたんですけど、音楽が嫌になったことがあったんですよ。ことに"練習"に関しては周りがすごく厳しくて、押し付けられているように感じてしまって。その反抗心からメタルを好きになったりしたんですけど、とにかく練習って、なにか自分を押さえつけるようなものに感じたんです。
亀田
その考えは、誰かに出会って変わっていったんですか?
西原
それはもう、ある時期に自分で気づくんですよね。いろんな人とプレイしてみて"あっ、僕、全然ついていけてない"とか、そういうことに気づいていくうちに、だんだん変わっていくっていう。で、僕の場合はどちらかと言うと、家で練習をするより、人と合わせることが一番の練習方法だと思っていて。だからこそ、フィジカルな練習を続けるよりも、楽曲に対してどうするかっていうことを考える練習のほうが僕は向いてるんだなって感じて、シフト・チェンジできたっていう。
亀田
そうやって人生の節々で起こったことが、ニューチャリの音楽性に反映されてるんですね。僕の場合、ジャズ・ベーシストのポール・チェンバースがずっと大好きなんです。で、10代の後半から20代前半にかけてポール・チェンバースの教則本を見て表紙がボロボロになるまでひたすら練習して。で、その教則本を読んで練習することで譜面が読めるようになる助けにもなりましたし、今でも時々おさらいするためにこの本を開いたり、サウンド・チェックなどで、ポール・チェンバースのラインを弾いたりするんですよ。
西原
そういった素養が自分の体のなかにあるんですね。
亀田
僕はジャズとはそういうお付き合いをしていて、今でも大好きなんです。ベース・マガジンの誌面で、以前はメンバー3人でジャズをやっていたとおっしゃってましたが、僕の場合、ジャズと親しむことによって得てきたものが、ポップ・フィールドを目指すなかでベーシックに存在していて。これを読んでいるみんなのなかで"ジャズって難しそう"って思ってる人がいるのであれば、そういう風に思わないでほしいですよね。
西原
そうですね!

次回「亀子の部屋」8/19更新

ベース・マガジン2013年8月号 7月19日発売
http://www.rittor-music.co.jp/magazine/bm/

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