亀田大学

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講義06 亀田流8ビートの楽しみ方!

2013/8/19
ベース・マガジン9月号連動

亀田のベース・ラインを解説!

皆さん、こんにちは!第6回目となるこの連載では、毎月僕が作品に残したベース・プレイから、ひとつのフレーズをピックアップして解説していきます。今回はDo As Infinityが2001年にリリースした「遠くまで」を題材に、8ビートのグルーヴを楽しむ方法を紹介しましょう。グリスなどのニュアンスを加えることで、うねるようなグルーヴを作り出すことができますよ!

「遠くまで」
music by D・A・I
『DEEP FOREST』 エイベックス/AVCD-11981

◎ベース・ラインの成り立ち

この曲は、僕とドラムの河村"カースケ"智康さん、そしてDo As Infinityのギタリストである大渡亮君と3人でベーシックのトラックを録ったのですが、1テイク録っただけでOKになりました。サウンド・チェックで一緒に音を出したあと、1テイク目で"これがいいね!"っていう雰囲気になったんです。実際この曲は、8ビートというカテゴリーのなかでも僕とカースケさんとのベスト・テイクのひとつだと思っています。しかも、何度も録り直してテイクを重ねていたら、こういったグルーヴにはならなかったと思います。そして、僕がベース・ラインをうねらせることができるのは、カースケさんがタイトな8ビートを叩くことによって、しっかりと土台を作ってくれているからなんです。カースケさん、いつもありがとうございます(笑)!

◎演奏する際のポイント

この曲では、まず8ビートでどうやってグルーヴを出していくかっていうことが大切なテーマになります。そして、グルーヴを出すために、随所に"グリス"を入れています。それによってうねりが生まれて、1拍のなかにポケットというか、他パートのグルーヴとなじませる"スポット"が生まれるんですね。そこにグルーヴのツボというものができて、ドラムやギターといったほかの楽器に対して、背中を押すようなリズムの力を生み出すことができるのです。こういったことをコントロールできるのがベースの醍醐味なのです。グリスを効果的に取り入れることで、プレイの幅が広がっていくと思います。グルーヴを次へ次へと転がしていくという、グリスの威力を感じてもらいたいですね。とはいえ、グリスを必ず入れればいいっていうものではなくて、8ビートをグリスなしでタイトに刻み続けることが大事な場合もありますね。

次回「 脱・初級のベース演奏能力向上セミナー」9/19更新

作品のクオリティを上げるためには、さまざまな角度から検証することが大事。(亀田)

亀田
今回のシングル「great escape」は、プロデューサーとして僕が関わる場合のなかでも、少しイレギュラーな作り方でした。通常は、メンバーと一緒にいる時間を重ねて作ることが多いけど、"納得いくものをじっくり作ろうね!僕、けっこう厳しいからね!"なんて言っていたら、締め切りが前倒しになってしまって、結果的にタイトな期間になったという。作業としては、最初に音源データのやり取りをしていて。
三島
そうですね。音と文面だけのメールのやり取りを続けていました。もちろんお顔を見ながら作業をしたかったんですけど、お互いのスケジュールのタイミングを合わせられず......。
亀田
ただ、初めてミーティングしたときに"曲は三島が書きます"っていう話を聞いて。で、三島君が曲を書くっていう時点で、僕のなかでは安心感があったんです。三島君が曲を書いて、アレンジの部分で引っ張っていってくれるんだったら、きっとうまくいくだろうって思ったんですよ。そのうえで、曲を良くすることだけに集中できたというか。
三島
逆に、曲作り以外の面では、僕らが亀田さんに預ける感じでしたね。
亀田
ひとつひとつの楽器のアレンジはホントに素晴らしくて、"よくこんなアレンジを思いつくね!"っていう感じなんですけど、その魅力を最大限に生かすことを考えましたね。例えば、主役を引き立たせるために他を少し抑えるとか、特定のパートが主役である時間が長すぎるときは、少し短くしようって時間軸で考えたりとか......。ただ、口うるさく言う必要はまったくなかったです。カレー屋さんのメニューで例えると、激辛マークの献立ばっかりなんだけど(笑)、そのすべてがおいしいというか、しっかりとしたスパイシーさがあって、あとはそれをどう組み合わせるかっていうことだけを考えればよかったんです。さらに、緩急をつけたスリリングなアレンジが"cinema staffらしさ"だと思うんですけど、加えて、メロディ・ラインしっかりと存在しているということが大きな魅力で、それに関してはまったく破綻していなくて。加えて今回、『進撃の巨人』というアニメで流れるなかで、どれだけスピード感や"らしさ"を発揮できるかっていう挑戦がありましたね。
三島
今回の亀田さんの作業を見て、僕自身、非常に勉強させていただきました。特に、会話をするなかでいろんなことを感じ取って、臨機応変に進めるっていうディレクションが素晴らしくて。普段は僕のジャッジでやっているんですけど、僕の場合はもっと頑固にやっていたから、正直、空気感がピリピリする瞬間もありますし。
亀田
"うるさいなぁ、亀田"とか思わなかった?
三島
そんなこと一回も思ったことないです(笑)!むしろ、もっと言ってくださいって思ったくらいです。
亀田
レコーディングはツアーの合間で行なったんですけど、当初、金沢と新潟に行って、帰ってきてからヴォーカル録りっていうスケジュールだったんです。でも、リハの完成度が良いので、楽器の録音の日に、ヴォーカルも一緒に録ってしまおうって僕が提案したんですよね。"絶対に録れるから大丈夫!"って。実際、ライヴを2本やったあとのノドの調子を考えると、そうするべきだと思ったし、作品のクオリティを上げるためには、さまざまな角度から検証して、場を作っていくことが大事なんです。結果、調子も良くて、良い歌が録れたと思います。オケから歌までを1日で録れましたからね。

"この声がオリジナリティになればいいじゃん!"って思えたんです。(三島)

亀田
ベースマガジン誌上でも話しましたが、三島君のベース・プレイについては、シンプルに徹していて他のパートに"譲る"点が特徴だと思っていて。
三島
自分のルーツのひとつにハードコア・パンクがあって、そういったベーシストも好きですし、その流れで自分のプレイ・スタイルができあがったと思います。で、コンポーザーとしてのルーツはゆずなんですが、それに少々のハードコアと岡村靖幸さんの影響が混じるっていう。結局、根本的にメロディが良くないといけないっていうのはあって......僕、ギターを持って路上(ライヴ)をやっていたこともあるんです。
亀田
それは地元で?
三島
そうですね。僕は岐阜県出身なんですけど、中学校の頃は駅前などの路上で歌っていました。僕の場合、"謎の度胸"だけは持っていて(笑)。当時はネットが流行り始めた頃なんですけど、ゆずのコミュニティ・サイトのようなものがあったんですけど、その掲示板に"一緒に路上でゆずの楽曲を弾きませんか"っていう書き込みを見つけたので、腕試しだと思ってそれに応募して。すると、周りは社会人や大学生ばかりで、年上ばかりなので"みんな、プロのように弾けるんじゃないか"って想像していたんですけど、意外とそうでもない(笑)。そこで謎の自信が出て、そこからひとりでもやるようになったんですね。
亀田
確かに、三島君は歌もうまいんですよね。飯田(瑞規/vo,g)君の歌にぴったりハモらせることができる。通常、他パートがコーラスをレコーディングするときって時間がかかってしまう場合が多いんですけど、とてもスムーズでしたよね。
三島
あと、アレンジについては、バンドを組んだ当初はこんなに複雑じゃなかったんです。でも、ナンバーガールからの影響によって複雑になり、さらにハードコアの影響を受けることで、歌のことは今ほど考えていなくて。それこそ、以前は、曲を作るときに"サウンドをもっと汚せ"ってみんなに要求していたんですよ。"ヴォーカルはガナるぐらいでいいんだよ!"って。でも、 飯田君はどうしても、キレイな歌い方になってしまうんです。最初の頃は、個人的にそれがフラストレーションだったんですけど、また謎のきっかけにより(笑)、キレイなヴォーカルもいいなと考え方が切り替わった瞬間があって。"この声がオリジナリティになればいいじゃん!"って思えたんですね。攻撃的な部分を強調するだけじゃなくて、それとは違う方向を考えたときに発想が変わった。
亀田
実際、飯田君の声は宝物だよ。僕も、それについてはいつもみんなに言ってましたよね。
三島
そうですね。今は"ワンアンドオンリー"だと思っているし、それを生かすとことに喜びを覚えるようになったんですよね。
亀田
cinema staffの音楽はバランスがいいんですよね。すごく攻撃的でオルタナティブなロックなんだけれど、飯田君の声も含めて、ポップス・マナーがすごくあって。そのバランスがすごくいいんです。
三島
ありがとうございます!曲展開にしても、最終的に王道のパターンに戻ってくるんですよね。プログレも好きでしたし、複雑なことをやり出したらキリがないですけど、自分がポップスをとおってきたのせいか、最終的にはA→B→サビでいきたいとか、ある意味、ベーシックな自分が聴いてきた"聴きやすいもの"に落ち着きたいんですよね。もちろん、そうじゃない曲ももちろんありますけど、正直、そこに美学を感じている部分はあります。
亀田
そのなかでも、今回の曲はメンバー4人で出せる最大限のことをやっているよね。それぞれが最高値を出していると思うし、cinema staffは常にその最高限界値に挑戦している感じはします。
三島
ありがとうございます!まだまだ、最高値を引き上げていかなきゃいけないって思っています!

次回「亀子の部屋」9/19更新

ベース・マガジン2013年9月号 8月19日発売
http://www.rittor-music.co.jp/magazine/bm/

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