亀田大学

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講義07 スウィングを感じよう!

2013/9/19
ベース・マガジン10月号連動

亀田のベース・ラインを解説!

皆さん、こんにちは!この連載では、毎月僕が作品に残したベース・プレイから、ひとつのフレーズをピックアップして解説していきます。第7回目となる今回は、僕が東京事変のメンバーとして2009年に発表した「能動的三分間」を題材に、スウィングする心地よさを解説しましょう。スウィングとはハネのリズムを感じること。それを意識して弾いてみてください!

「能動的三分間」
music by 東京事変
EMI Records Japan/TOCT-40280

◎ベース・ラインの成り立ち

いきなりですが、1980年代当時、"ニュー・ジャック・スウィング"という音楽ジャンルが一世を風靡しました。これは、テディー・ライリーというプロデューサーが広めたジャンルのひとつなのですが、打ち込みのグルーヴによって作り出す、ファンクやヒップホップにも通じるダンサブルなサウンドが特徴でした。東京事変のメンバーも、これをこよなく愛していたんですね。ニュー・ジャック・スウィングはおもに打ち込みなのですが、「能動的三分間」をレコーディングしていた当時、それを生の楽器でやったらどうなるかっていうことに、みんなで挑戦していたんです。"このニュアンスをバンドで演奏したらカッコいいんじゃないの?"なんて言いながら、当時、スタジオのなかで日々練習していたことを覚えています。

◎演奏する際のポイント

そんななかで生まれたこの曲を演奏するにあたって、大前提になることは曲全体の"ノリ"をつかむことにあります。よく聴いてもらうと、ひとつひとつの音がスウィングして(=ハネて)いることに気づくはず。演奏するときも、すべての音符がハネているっていうことを意識して、それを常にキープすることが最も大事であり、基本でもあります。逆にハネていないと、まったく違った曲に聴こえてしまいますね。それぐらい、きめ細やかに"ハネ"を意識することが、ベースにとっても、そしてドラムにとっても重要になってくるのです。 また、休符のタイミングで"ゴーストノート"を入れているのもポイントです。これは、左手を弦に触れさせてミュートした状態でピッキングし、音程ではない"ポン!"という音を鳴らすこと。この曲では2&4拍目にゴーストノートを常に入れることで休符を作り出します。そして、休符を入れることに加えて、そのあとにも続くグルーヴを意識することは大事です。ゴーストノートを入れることは、リズムを見失わないで拍を数えられるという効果もあります。

次回「 脱・初級のベース演奏能力向上セミナー」10/19更新

亀田さんのベース・ラインは、歌のメロディと同じように思わず口ずさんでしまう。(345)

345
私、亀田さんのことは高校生の頃から大好きで、これまで聴き続けてきていて......。
亀田
あら!
345
椎名林檎さんが大好きでしたし、昨年の、日本武道館で行なわれた東京事変のライヴにも行かせていただきました。なので、今もドキドキしています(笑)。
亀田
どんなところが好きだったんですか? ......って自分で聞くのもすごくヘンですけど(笑)。
345
"動く"ベースというか、かなりの手数で弾いていらっしゃるし、そのプレイからテクニックを感じるのに、楽曲にちゃんと馴染んでいるというか、歌の邪魔をしない。そして、すごく耳に入ってくるのに出過ぎないっていう。とにかく、歌のメロディを大事にしている部分がすごく自然に感じて。
亀田
それは僕が目指しているところなので、すごく嬉しいです。
345
あと、その曲を聴いたときに、歌のメロディを口ずさむのと同じように、思わずベース・ラインを口ずさんじゃうっていう印象があって。
亀田
それは嬉しいですね。そういえば以前、あるスタッフさんが、「歌舞伎町の女王」という曲の歌詞とベース・ラインを同時に口ずさんでいて。で、"亀田さんのベースは歌いたくなっちゃうんですよ"っておっしゃってくださったことがありましたね。
345
確かに、あの曲も"歌いたくなる"ベース・ラインですよね。
亀田
凛として時雨については、今回のベース・マガジンの対談で、バンドの空気感がなんとなくわかってきました。お互いが尊重し合っているうえで、TK(vo,g)さんの作りたい方向に行くんですよね。そういった意味では、東京事変とも似ている部分があると思います。東京事変は、バンド全員で"せーの"で録っていて、そのうえで、相手の考えていることについて全面的に信頼しているっていう感じでした。ちなみに、凛として時雨のレコーディングでは、曲の構成をあとから変えたり、エディットのような作業はするんですか?
345
レコーディングが終わった段階で構成を変えたりといったことはあまりないんですけど、曲作りというか、デモを作っている段階ではいろんなパターンを試していますね。例えばA→B→Cっていう曲展開をA→C→Bにしてみたり、そういった試行錯誤はかなりやっています。
亀田
そういった作業は、TKさんがPC上で行なったりするんですね。そして、TKさんがプロデュースも兼ねている、と、ベースを録るときはどんな雰囲気?
345
ベースを録音するときは、TKが作業している卓の横に座って弾いていたりしますね。
亀田
"せーの"の一発録りではなく、それぞれがバラで録っているということは、レコーディングの作業が終わったあとから、初めてバンド全体で曲を合わせるっていうこともあるのでは?
345
それはありますね。今年4月に『i'mperfect』というアルバムをリリースしたんですけど、そのツアーが始まる前は、1ヵ月近くスタジオを押さえて、ずっとバンドでリハーサルをやっていて。アルバムの音源を家で復習するんですけど、最初の頃に録った曲は記憶がもう薄れていたり(笑)。レコーディング中にいろんなことをやっているので、"このベースを弾きながら歌わないといけないんだ......"って思い返したり。あと個人的には、いざスタジオに行って何もできないっていう状態が恐いので、ちゃんと復習してスタジオに臨みます。
亀田
なるほど。これはベーシストならではの責任感ですよね。今まで出てくれたゲストの方々も、自分のやるべきことは事前にちゃんと準備していましたね。周りに迷惑かけたくないっていう思いがあるんでしょう。
345
でも、思いのほか"大丈夫だった!"って安心したりする時もあります(笑)。
亀田
(笑)僕は今でも、自分のせいで現場が止まってしまって、迷惑をかけてしまうのは......。
345
もう耐えられないですね。
亀田
ですよね! ホント、涙で枕を濡らします。
345
亀田さんでもそう思うことがあるんですか?
亀田
思う思う! だから、絶対にちゃんと練習をやっていきますよ。向上心と責任感って、バンドやセッションでもホントに求められますよね。

バンドのスタンスとして、ロックという言葉では片付けられない力強さを感じます。(亀田)

亀田
そういえば、345さんのプレイで好きな部分が、休符のときに空ピッキングを加える瞬間なんです。
345
えっ!本当ですか!? 嬉しいです(笑)。
亀田
リフの合間に空ピッキングを入れる瞬間がカッコいいって思います。オルタネイト・ピッキングをキープすることで、体のなかで常に8分や16分のビートを感じているっていうことなんでしょうか。
345
空ピッキングを入れないと、リズムに合わせて弾けないっていうことだと思うんですけど......無意識でやっているんですよね。
亀田
これまでに、プレイ・スタイルについての転機はありましたか?
345
あまり自分のなかでの変化は意識したことはないんですけど、ベースを始めた頃が、最も自分が変わる瞬間がわかるというか"これが弾けるようになった!"っていう感動はありましたね。で。若い頃は勝ち気な部分もあって、当時はライヴハウスででやっていても、自分の勘違いだとしても"他のベーシストには負けない!"みたいにあえて考えるようにして、成長を自分で感じていた気がします。
亀田
なるほど。あと、ベース・マガジンの対談で、ギターから楽器を始めたとおっしゃってましたが、ベースという楽器が向いていたんでしょうね。
345
そうかもしれません。ちなみに、ギターを弾いていたせいか、ベースを始めた頃はかなりネック寄りでピッキングしていたんです。で、TKからベースを教えてもらったり、教則本を読んだりしたんですけど、実際にいろいろやってみて"ピッキングする位置によって音が違う!"って気づいたり、あと、ピックの当て方ひとつについても、最初は斜めに当てていて、3年ぐらい経った頃に"はっ、違う!"って気づいたり。
亀田
そうやって弾き方を試行錯誤していたんですね。ちなみに僕がピック弾きを始めたのは、30代になってからなんですよ。
345
えぇ!
亀田
でも、そのときに違和感なく弾けていて、ブリッジ寄りで弾いていたり、ちゃんと水平に当てていましたね。あと、345さんの場合はバンド・メンバーとの出会いは大きかったんでしょうね。やはり凛として時雨って、他の追随を許さないくらいの、トリオとしての総合的な力を感じるんです。しかも、良い意味で先人からの影響が見えないところがかっこいいと思います。"トリオはこうあるべきだ"とか、洋楽などの諸先輩方の背中を追いかけている感じではない。
345
実際TK自身も、普段激しい音楽をあまり聴かないって昔のインタビューで発言していましたね。
亀田
それって、自分で考えて、やりたいことをやっているっていうことですよね?それがすごく良い。ピエール中野(d)さんのスタイルも大好きなんですけど、彼についても誰からの影響っていうのは見えないっていうか。ご本人のなかではあるのかもしれないですけどね。そういう意味では、3人の個性があって、バンドは自由でいいんだよっていうことを体現する先駆けですよね。あと、バンドのスタンスとして、かすり傷や擦り傷なんて気にしません!みたいに、前に進んでいるんですよね。音楽を作る場合、いろんなパターンがあって、擦り傷を作らないよう、丁寧に構築したいっていう作り手の気持ちも大事だと思うし、とにかく行くぜ!って、気概というか気骨みたいなものを感じて作る場合もあって。"ロックっぽい"って言うとありきたりな表現になってしまいますが、ロックという言葉では片付けられない力強さを感じます。今後、凛として時雨を聴いて育ったっていう世代のバンドが出てくることでしょう。
345
そうやって言ってもらえて、本当に嬉しいです!

次回「亀子の部屋」10/19更新

ベース・マガジン2013年10月号 9月19日発売
http://www.rittor-music.co.jp/magazine/bm/

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