亀田大学

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講義08 ウォーキングをマスター!

2013/10/19
ベース・マガジン11月号連動

亀田のベース・ラインを解説!

皆さん、こんにちは!この連載では、僕が作品に残したベース・プレイから、毎月ひとつのフレーズをピックアップして解説しています。第8回となる今回は、東京事変の「キラーチューン」から、ウォーキング・ベースの基本を解説していきます。ウォーキングとはジャズでもよく使われるフレーズの種類のことで、先月号でも説明したスウィングがリズムの基本です。フレーズを作るときの音のつなげ方などを見ていきましょう。

「キラーチューン」
music by 東京事変
『娯楽(バラエティ)』 EMI Records Japan/TOCT-26350

◎ベース・ラインの成り立ち

ウォーキング・ベースというと、ジャズやビバップのウォーキングの複雑なラインをイメージしてしまい、敷居が高くて手ごわいんじゃないかとか、苦手意識を持つ方は多いかもしれません。僕も最初はそうでしたが、僕の場合はジャズの作品にも多く触れていましたし、ジャズが大好きな仲間と演奏する機会も多かったので自然と身についたんです。
今回紹介する「キラーチューン」のAメロでは、僕なりの解釈のウォーキング・ベースを弾いています。まず、この曲をとおして大事なことは、先月号でも説明した"スウィングすること"です。常に"ツックツックツック......"と3連符を感じながらリズムを取ることで、スウィング感を出します。そのリズムの感覚をしっかり感じて、それを指先で表現できるかっていうことが大前提かつ基本です。

◎演奏する際のポイント

よく"ウォーキングのベース・ラインを作るのが難しいです!"という人がいます。そういった人のために、このフレーズの成り立ちを説明しましょう。まず、実際にこの曲を弾いてみると、各小節のコードに対して、必ずルート音から始めていることがわかると思います。例えば、譜例の1小節はAですが、2小節でコード・チェンジするときに、ちゃんとそのコードのルート=G♯音を弾いています。あえてルートを外すという方法もありますが、ことにこの「キラーチューン」に関しては、レコーディング時に歌メロを聴いたとき、コード・チェンジの際に拍の頭でルート音を忠実に弾き、安定したコード感を出したほうがいいと判断したんです。また、リズムについては、サビや曲の始まりのリフはタテのビートが強いので、その印象を残しながら、スウィングをしっかり意識して弾こうと思いました。

次回「脱・初級のベース演奏能力向上セミナー」11/19更新

藤井君と大久保君の関係性は一心同体で、すごく幸せだなって思うんです。(亀田)

亀田
たしか、音速ラインのおふたりと親しくなれたきっかけは『風とロック LIVE福島 CARAVAN日本』ですよね。
大久保
そうですね。
亀田
大久保君たちもそうだと思うんですけど、あのイベントでは、普段はなかなか出会うきっかけのないミュージシャン同士や、お客さんとも接点が持てるんです。僕にとって『風とロック〜』はすごく大事な場所だし、きっと音速ラインのふたりにとっても大切なイベントで、これをきっかけにつながった出会いを大事にしたいなって僕は思っているんですね。今回は『風とロック芋煮会2013』の熱もまだ残っているなかで、お話ができればと思ったんです。
大久保
あのイベントは全員が家族というか、怒髪天の増子(直純/vo)さんが"これは大人の修学旅行だ"と言っていたのが印象的なんですけど、本当にそのとおりだと思っていて。出演者はもちろん、来てくれるお客さんも含めてファミリー感が溢れている場所、という印象ですよね。継続的に参加させてもらって、自分のなかでは、もはやなくてはならないイベントなんです。
亀田
そのイベントを機会に音速ラインと接して感じたのは、ある意味、藤井(敬之/vo,g)君と大久保君の関係性は最小限の形ですが、一心同体なんだなっていうことなんです。そういったパートナーがいて、しかもその形態で成立していることって、逆に言うとすごく幸せだなって思うんです。で、先ほどもYouTubeで昔の映像を観て、また胸が熱くなっていたんですけど(笑)、"こんなにノイジーなことやってたんだ!"と改めて気づいたり。大久保君は曲を書くんですか?
大久保
いや、僕は音速ラインでは書いてないですね。
亀田
っていうのも、多くのベーシストは、フレーズっていう概念のなかでベースのフィル・インであったり、歌に対してどうアプローチするかっていうことを考えているけど、大久保君はもしかしたら、もう少し大きい意味で"第2のメロディ"みたいな、作曲者と同じ回路で1曲単位でのベース・ラインを考えているのでは、と思って。あと、シューゲイザーなどからの影響を言及されていますが、それをどのように反映しているんですか?
大久保
シューゲイザーでは、"歌も楽器の一部"みたいな感覚だと思うんですけど、"音像のなかで良いメロディが鳴っている"っていうのが、僕のシューゲイザーに対する解釈なんです。で、藤井と僕は好きな音楽の趣向が違うんですけど、そういったシューゲイザー的な側面を打ち出したいのは、藤井のほうなんですよ。
亀田
なるほど。
大久保
藤井が提案してきたものに対して、僕がどういうアプローチをするかっていう部分でおもしろいことができたらな、と。そういうことは常に考えていますね。そして、僕のプレイのなかでにじみ出ちゃっている要素は、ベース・マガジンの誌面でも話したCymbalsや、渋谷系の音楽からの影響なんだと思います。それを聴くもっと以前は、ずっとメタルを聴いていたんですけど、渋谷系を聴き始めてからベースのおもしろさに気づいたんですよね。
亀田
なるほど。あと、大久保君は、ベース・アンプじゃなくて、ギター・アンプ(マーシャルのJCM900)を使っているんですよね? その理由は?
大久保
以前はベース用のアンプを使っていたんですけど、アンサンブルのなかで自分のフレーズが見えづらいなって感じていて。PAエンジニアの方とも、もっと音の定位を上げたほうがいいんじゃないか?っていうことをよく話していたんです。で、以前に「真昼の月」(07年)というシングル曲を根岸孝旨さんにプロデュースしていただいたんですが、そのときに根岸さんがマーシャルのヘッドを持ってきたんです。そして、ヘッドからスピーカー・シミュレーターに入り、そのまま卓に行く録り方だったんですよ。そのときに"この音いいな"て思って。それがきっかけでしたね。

アンサンブルに溶け込みながらもフレーズがちゃんと見えるのが理想(大久保)

亀田
それによって定位が上がって、フレーズが見えてくる、と。一般的に、ベースは重低音を担うべきだ、という概念もあると思うんですが、今の大久保くんの話は目からウロコというか、興味深い話ですね。ベースの音は、低域に寄らずに少しミッド寄りのほうが聴こえてくるという。僕の場合は、どちらかというとバスドラムにローを担当していただいて、その上に乗るイメージですね。もちろん、一緒にプレイするドラマーの個性によって捉え方はかなり変わるんですが、僕も低域ばかりを強調するタイプでないんです。
大久保
"フレーズが見える"っていうことについては、ただ存在感を主張するというよりも、アンサンブルに溶け込みながらもちゃんと見えているって状態が理想だと思っています。ただ、藤井さんのギターの音って、レンジがとても広いんです。だから、低域に寄ってしまうと、どんなフレーズを弾いているのか、ベース・ラインが見えづらくなるんですよね。

亀田



大久保

亀田

例えば、アンサンブルを3階建ての建物だとすると、1階にいるベースの人が幅を効かせすぎると、2階の人の居心地が悪くなってしまう。それよりも、1階と2階の間......中2階やロフトなどでベースの人が間をつなげてくれていて、それらの上に歌がいるほうが"音楽が温かくなる"って思うんです。

なるほど。逆に、低すぎるとベースが下のほうで浮いてしまうんですね。

そうなんです。そういう意味で、僕は"軽低音のすすめ"ってよく表現しています。もちろん、腹に響くような重低音が気持ち良いジャンルやシチュエーションもあるので、一概には言えないですけどね。ちなみに、大久保君は、ステージ裏の楽屋でも常にベースを弾いてますよね。あれを見て、僕ももっと練習しなきゃいけないって思うんです。練習やウォーミングアップをしっかり行なってライヴに臨むっていう姿勢は、以前から心がけていたんですか?

大久保
これは本当に恥ずかしい話なんですけど、以前、お酒を飲みながらライヴをやっていたことがあったんです。で、あるとき"今日はステージのモニターの音が気持ちいい"って言うと、"それは君が酔っ払ってるからだよ"ってPAの方に言われたことがあって......結局、それって錯覚だったんですよね。で、素の状態でプレイしてみるとヒドい状況で"こんな状態で人前に立てる神経ってヤバいんじゃないか"って自覚したんです。で、ライヴ前に飲むことは3年前にきっぱりやめたんですけど、お酒がない状態でライヴをすることで自分のダメさを痛感して、ちゃんとやらなきゃいけないと思ったんですよね。それこそ、ライヴを録った音源をあとで聴き返して、泣くこともありましたし、何より観ている人に失礼ですからね。
亀田
僕も、悔しくて泣くことは今でもありますよ。"なんでこんなことができてないんだろう"って思うことはしょっちゅうあります。演奏のクオリティだけじゃなくて、いろんな要素を踏まえたうえで悔しくて。でも結局、すべては自分の責任だと思っているんです。単純に自分がミスしたっていうことだけじゃなく、全体がまとまらなかったのはベースの責任なんじゃないのかなって考えちゃったりするし、"あそこで僕がもっとテンションを上げていれば、後半はもっといいライヴの流れを作れたんじゃないか"って考えてしまったり。ただでさえ責任を感じてしまうなかで、ましてや自分が失敗したり、思い描いてたとおりに弾けなかったりしたらもう......(苦笑)。もちろん、その逆もあって。基本的に、日頃の練習の積み重ねが大切で、本番だからといって奇跡は起こらないって考えているんです。しかしその一方で、適度な緊張感のなかでやることによって、思っている以上に良い演奏ができることもあるんですよ。

次回「亀子の部屋」11/19更新

ベース・マガジン2013年11月号 10月19日発売
http://www.rittor-music.co.jp/magazine/bm/

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