亀田大学

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講義11 ベース・ソロに挑んでみよう!

2014/1/18
ベース・マガジン2月号連動

亀田のベース・ラインを解説!

皆さん、こんにちは!亀田誠治です。この連載では、僕がこれまでに手がけた作品のなかから、ベース・プレイをピックアップして解説します。11回目となる今回は、Charaさんの「o-ri-on」から、気持ちを込めたベース・ソロを紹介します。低音を支えるのがベースの重要な役割ですが、率先してメロディを奏でることで、ベースが主役になる瞬間もあるのです。チョーキングやヴィブラートによって表情をつけたソロに挑戦してみましょう。

「o-ri-on」
music by Chara
『UNION』ユニバーサルシグマ/UMCK-1222

◎ベース・プレイの成り立ち

今回は、Charaさんの楽曲から、2007年に発表した「o-ri-on」を取り上げます。ここでは歪ませた音色で弾いていますが、ベースで歌うように、感情を込めて弾いていて、音の伸びが気持ちいいソロです。ビートルズの名曲「レット・イット・ビー」でジョージ・ハリスンがギター・ソロを弾いているんですが、ジョージのソロは、音数は少ないですが、チョーキングなどを活用することで、表情たっぷりに歌っています。ソロを弾くときって、"何かになりきる"っていうことがすごく大事です。今回の場合は、自分が大好きなビートルズの曲であったり、何よりもジョージのことに思いを馳せて弾きました。このベース・ソロは、僕がジョージになったつもりで弾いたんです。

◎フレージングのポイント

奏法的にはチョーキングがポイントです。2013年7月号の本連載でも紹介した椎名林檎さんの「丸の内サディスティック」もそうだったんですけど、「o-ri-on」のレコーディングの際、直前のバッキングからの流れでソロも弾いたので、別録りはしていません。その流れで録音したことが重要で、そのライヴ感がエモーショナルな気持ちを与えているんです。そして、思わずヴィブラートをしてしまったり、20フレットまで使うというフレーズになりました。そのあたりのハイ・ポジションは、年に一度くらいしか使わないかもしれませんが(笑)、使ったことのない人は、ぜひ活用してベースの可能性を広げてください。4小節3拍目では、曲のキーであるEに対して♯9thからチョーキングしていますが、次の音まで上がりきらない、数字では割り切れない微妙な音程を狙うという、チョーキングならではのニュアンスがポイントです。その音程が、届けたくても届けきれない思いであったり、熱い気持ちを表現していると思うんですね。力が入って思わず音程が上がり過ぎることもありますが(笑)、それも行き過ぎた気持ちを表現したということで、全然アリだと思います。とにかく、チョーキングは気持ちを込めて弾くことが大事!

次回「脱・初級のベース演奏能力向上セミナー」2/19更新

レーベルにいた頃の周りとの関係は、本当にありがたいと思っています。(ナガイケ)

亀田
ナガイケさんは、ベースを弾くという側面以外にも執筆などもしていますよね?あとはバンドの運営に関してもWEBなどを担当しているとか?
ナガイケ
本当に単純なことなんですが、メンバー4人だけですべての業務を行なっているので"チラシの発注は誰がやる"とか"物販の管理は誰がやる"っていうことを分担するなかで、僕がWEB担当になっちゃったんですよ。
亀田
自分たち4人だけで活動していくって決めたのは、何がきっかけだったんですか?
ナガイケ
以前に所属していたレーベルとの契約が2006年に終了して、これからどうしようかって思っていたときに、僕らの周りには曽我部恵一さんだったり、ZAZEN BOYSの向井秀徳さんがいて。あと、当時はフラワーカンパニーズもグレートマエカワさんが全部仕切って活動していて。そういった人たちにいろいろ相談するなかで、自分たちでやってみようか、と。で、その話を向井さんにしたときに"じゃあマツリスタジオ(向井秀徳が所有するスタジオ)で録っちゃおうか"っていうことになり、向井さんにエンジニアを担当してもらって2007年にミニ・アルバム『トラウマティック・ガール』を作ったんです。何か思い立ったときに、すぐに"やっちゃおう"って実行できることが、バンドとして動くにはラクじゃないですか。実際、そのときも"リリースはいつにするか"とかも考えずに音を録れたっていうことが大きくて。
亀田
カッコいいな~!ヤバい(笑)。
ナガイケ
(笑)。そこで、このやり方でやっていこうと決めて、今に至るという。
亀田
今の音楽シーンでは、むしろそういった動き方が最先端とも言えますよね。
ナガイケ
確かに、最近は"そういう風に活動したいです"っていう人が多く出てきたかもしれません。
亀田
まさに、その先駆者と言えますね。
ナガイケ
でも、メジャーのレーベルにいた頃に培った経験や、周りの方々との関係性みたいなものは......。
亀田
無駄になってないでしょ?
ナガイケ
むしろ、本当にありがたいなって思っています。
亀田
それですよ!この言葉を見出しにしたい(笑)!それを言えることが、スクービードゥーの一番カッコイイところですね。"あの経験があったからこそ、今は自由なことができる"って言う人は、僕の周りにもいて。例えば、"あのとき、亀田さんと仕事をしたことがすごく楽しかったし、こういう風に音が作られていくんだとか、レコーディングはこうやって進めていくものなんだとか、こういう曲が作るとライヴでお客さんがノってくるんだっていうことを教えてもらった"っていう話は、僕と一緒にデビュー曲を作ったミュージシャン、言ってみれば"亀田学校卒業生"の方々から言っていただくことがよくあって。僕自身、そういう風に言っていただけると、自分がやっていることに確信が持てるというか、"間違ってなかったんだ!"って思えるんです。
ナガイケ
僕が所属していたレーベルは、みなさん"売ろう売ろう"と思って頑張ってくれていた方ばかりだったので。僕らは、2002年にメジャー・デビューしたんですけど、デビュー盤が出る前に全都道府県ツアーっていうのをやって。ツアーに関して今もお世話になっている方々は、そのときのイベンターさんばかりなんです。当時一緒にやってくれてた人が、今もずっと担当をしてくれていて、まぁ恥ずかしい話、みんな"スクービーでは儲けようと思ってないから"っていう気概のある方たちばかりで(笑)。もちろん、儲けさせてあげたいんですが......だから自分たちでやるようになってからは、そういった人たちに声をかけて、自分たちで直接ライヴハウスとやり取りすることが多いんです。

人生はスケジュール帳どおりにはいきませんからね(笑)(亀田)

ナガイケ
先日、レコーディングしたんです。カバー・アルバムで、ソウルのカバーを10曲録ったんですけど、ひとつのスタジオ内で全員で音を鳴らして、3日間で10曲仕上げるっていう(笑)。
亀田
あ~かっこいい!
ナガイケ
それも"録りたいね""じゃあ録ろうか"って言って始まったような感じなんです。
亀田
これは、読者の人たちにとってもヒントになりますね。まず、"バンドでレコーディングする"っていうことへの勇気になるような気がします。みなさん、今時は音を録れる機械はすぐに手に入るものの、それをどう形にしていくかっていうところで、一歩が踏み出せないこともあって。
ナガイケ
そうですね、できることが多すぎて、逆に何もできないという。
亀田
そう、さらに、スクービードゥーの活動で一貫しているのは、必ず何か"制約"があるんですよね。"これしかできません!"って表明することが強みだと思います。これを読んでいる方が、そのことに気がつくと、すごくおもしろい音楽が生まれると思います。宅録などは自分たちでもできるようになったからこそ、広がりすぎっちゃって、真っ直ぐ進めないというか......"今からやる? じゃあ録っちゃう?"ってできればいいんだけど、録る前に考えすぎちゃうっていうことがたくさんあって。
ナガイケ
そうですね。しかも"準備"してしまうと、つまらなくなってしまう。僕らの場合、最近はレコーディング前も、あまりバンド練習はしないようにしていて。そもそも、スタジオで合わせて、そのアレンジを変えようっていう話になっても、録る日にはすっかり忘れていたりするし(笑)。わりと出たとこ勝負っていうか、ライヴ中でもアレンジは変わっていきますし。
亀田
人生もスケジュール帳どおりにはいきませんからね(笑)。結果、こういう音楽は、演奏しているほうも気持ち良いけど、聴いてるほうも気持ちが良いんだよね。
亀田
そういえば、僕も同じような話があります。昨年、スピッツのレコーディングをしていたときに、男性コーラスとしてフラカンを呼びたいっていう話になったんです。で、電話をかけたら、すぐに来てくれて。"コーラスを入れたくなったら、1時間あればメンバー全員揃いますから"って(笑)。その時にスピッツのチームからどよめきの声が上がって。ある意味"あるべき姿"なんじゃないかって。そういったフットワークの軽さって大事なんですよね。しかも、積み重ねてきているものが、その活動のなかでモノを言ってるから。フラカンだって20年近く、スクービーも10年以上やっていて、お客さんのなかでも何かしらイメージが残っていて、ワクワクしていて。結局それは、みんなが日々積み重ねているものがジワジワと効いているっていうことだと思うんです。
ナガイケ
ズッコケ話もたくさんあるんですけどね(笑)。むしろ、ズッコケてばっかりで。そういう意味でも、フラカンは常に先を行ってくれている先輩バンドですね。
亀田
今日は、アマチュアの方にとっても、やる気が出るような話が聞けたと思います。
ナガイケ
でも正直、始めからそこは目指さないほうがいいのかなっていう気はしてるんです。やっぱりいろんな人が協力してくれる状況があるなら、まずはその期待に応えることを目指すべきだと思います。"今のほうが自由で楽しそうですね!"みたいに言われてしまうと......楽しいことだけではないよっていうか......こっちはこっちで大変なので。いろんなやり方があっていいと思うんですよ。
亀田
そういう意味では、スクービードゥーはやはり"信頼のブランド"みたいな感じはします。"絶対に裏切らない"っていう。
ナガイケ
そうですね。そのときそのときに最大限のことをやってきているっていうことは絶対にあります。先日、怒髪天が日本武道館公演を成功させましたけど、ただ長くやって、歳をとっても続けているから武道館やれたんでしょ?っていうことではない。やっぱり常にまじめに、"おもしろがってもらおう"とか"お客さんを楽しませよう、自分たちが楽しくやろう"っていうことを考えているからだと思うんです。
亀田
それがお客さんにも伝わるんですよね。あと、自分自身が飽きてしまわないように楽しもうっていう気持ちもあると思います。僕だって、そうやってトライ&エラーを繰り返していますから。

次回「亀子の部屋」2/19更新

ベース・マガジン2014年2月号 1月18日発売
http://www.rittor-music.co.jp/magazine/bm/

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