亀田大学

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── それから亀田少年は一目散にレコード店へと走ったわけですか?

いえ、それがたしかレコード店には、彼女のレコードを買おうと思って訪れたのではなかったと思います。『水色の恋』を最初に聴いたのはこのアルバムの1年前ですから、おそらく違うレコードを買おうとして、ジャケットやタイトルを見て、何かビビッと来るものを感じて、このアルバムを買ったのだと思います。

── しかし"ギフトパック"って、要はベスト盤なのですが、豪快なタイトルですね?(笑)。同シリーズは天地さん以外にも、南沙織さんや浅田美代子さんでも出ていたようで、近年では洋楽でも別企画で同名のベスト盤シリーズが存在するようですが。

k_002.jpg調べてみると、197174年頃まで、天地さん関連のレコードはオリジナルアルバムが年に2枚あってベスト盤も年1枚リリースされているという、まあ当時の熱狂を物語るようなムチャクチャなスパンでリリースされていたようですね(笑)。この『ギフトパック』は彼女のテレビで観た、ラジオで聴いたファンが絶対に聴きたいはずの曲を、何の奇もてらわず、ただただストレートに可能な限り収録してあるつまり"全部乗せ"なんですね。 ここまで清々しい収録の仕方は、今こうして自分がプロになると二の足を踏むものです。『何かひと味』とか『どこかで捻りを』と考えてしまいがちですから。ユーザーの目線を尊重するという意味で、初心に返るアルバムでもありますね。

── ボーカリスト・天地真理の魅力とは?

彼女の売り出し方自体そうでしたが、いわゆる"健康美"を前面に押し出した、ふくよかな歌声ですね。それでいて低域の魅力もあって。そうかと思えば"♪〜ラ"の音をファルセットで歌っていて。国立音大の付属高を卒業されているという経歴らしい、非常に声楽的な発声だと思います。 いつの世も大抵アイドルというのはそういうものですが、健康的なキャラがいると、そのオルタナとして、憂いがあったりちょっとワルだったりセクシーなキャラの人がいる。この当時なら天地真理さんに対して、夏木マリさん、奥村チヨさん、金井克子さんといった面々がそうだったと思います。天地さんは王道の、広く万人に愛される系譜に属していたというわけですね。

── 「水色の恋」をはじめ、ストリングスが多用されたオーケストラサウンドはとてもピースフルで、この当時の歌謡曲に於けるひとつの王道と言えるスタイルですね。

これは当時の典型的な歌謡曲の編成です。おそらくオーケストラが「せーの!」で、一発録りをして、しかもレコーディング時間も1時間とかで録っていたのだと思われます。

── 天地真理さんに限らず、1970年代の日本は言わば歌謡曲黄金期だったわけですが、現在の学長の音楽性に、その影響は色濃く反映されているとお思いですか?

k_003.jpgそう思います。特定の作詞家/作曲家さんについて聴き直すといった行為こそしたことはありませんが、DNAに刷り込まれている気がします。またサウンドとして優しくふくよかで、洗練された女性ボーカルものという意味では、後に好きになるカーペンターズやオリビア・ニュートンジョンと繋がっていますね。 何より、メジャー、つまりマジョリティなものを本能的に好んでいた。現在の僕のルーツだと言えるアルバムですね。『ギフトパック』は現在入手困難の模様ですが、その他の天地さんのアルバムは入手出来るようです。『水色の恋』以外にも、『ひとりじゃないの』、『ちいさな恋』、『虹をわたって』と名曲揃いなので、ぜひ一度聴いてほしいです。

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