亀田大学

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2013/03/15

講義 10 ザ・シーン・チェンジズ/ バド・パウエル

-亀の音楽史-

講義  10 ザ・シーン・チェンジズ/ バド・パウエル

[講義] 暴れん坊なのにナイーブさん。それがポール・チェンバース。

── 学長、おはようございます。さて第10回目の教材は世界的なジャズ・ピアニストであるバド・パウエルの『ザ・シーン・チェンジズ』ですね。この作品との出会いは、学長の大学一年生の自分と密接な関係があるようですが......?

はい。僕は晴れて早稲田大学に入学したのですが、学生生活が始まると、自分より上手い先輩やサークルの部員がたくさんいたんです。当時は自分より少しでも上手いと、その全員がテクニシャンに見えた。だから、そこに追いつかなければという気持ちで、彼らが聴いていたジャズを聴き始めました。ちょうど時代的にも、邦楽ならカシオペア、T-SQUARE、ナニワエキスプレスや渡辺貞夫さんといった、ジャズ/フュージョンとかクロスオーバーと呼ばれる音楽が脚光を浴びていた頃だったので。

── ああ、なるほど。

それとある日仲間から、「亀ちゃんのベースには歌心がない」と言われて。学生の頃って、お互い何かと難癖を付け合うんです(笑)。しかもヒマだから、マイルス・デイヴィスのトランペットがいかにスケベかっていう話を朝の五時までファミレスで語り合っちゃう。「すごくいいけど、スケベさが足りないよ」とか。僕も「スケベな音? わかんねえよー!!」みたいな感じになって(笑)。でもそこで僕の向上心に火が付いて、いわゆる名盤を漁って、『ジャズ名盤100選』みたいな本も買い始めた。そういったインプットやNHK-FMの番組からいろいろなジャズを吸収していく過程で、『シーン・チェンジズ』と出会ったのだと思います。

── 『ザ・シーン・チェンジズ』のどのようなところに魅かれたのでしょうか?

k_087.jpgバド・パウエルはすごくファニーでファンキーというピアニストでしたが、僕はこのアルバムで弾いているポール・チェンバースというベーシストに惚れ込んでしまったのです。彼の弾く、ブリブリとして、ゴリっとしていて、暴れているのに実は繊細で歌心のある、メロディアスなベースの音にね────あの、ジャズ好きの人が聴いたら怒られるかもしれないけど......彼は僕と似ていると思うのです。すごく他作で、呼ばれたら何処にでも出向いて弾いていたスタイルも含めて、今の僕にものすごく影響を与えています。

── いろいろな意味でシンパシーを感じるわけですね。

ええ。彼は33歳でこの世を去ってしまいました。ドラッグ問題から最後は肺を壊して死んじゃうんだけど、何でも死の間際にこなしていたスケジュールの過酷さたるや壮絶だったみたいですね。昼にいくつかのレコーディングをやって、夜はライヴハウスでギグやってみたいなのをずっと繰り返して、そこに海外公演もあったという。

     
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