亀田大学

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── チェンバースの音って、前に出過ぎない印象がありますね。

そうなんです。僕はどうやらジャズでもポップスでも共通した好みがあって、結局ポップでキャッチーな曲が好きなんですね。ベースのフレーズではなく、まず曲そのものが耳に入ってくるような、歌心のある曲が。

── たしかに『ザ・シーン・チェンジズ』の一曲目を飾る「クレオパトラの夢」もキャッチーですよね。

でしょ? ともかくこの頃はジャズのフィーリングというものを自分の身体に取り込もうとして、アルバムをカセットに録音しては、車を運転しながらずっとかけっ放しで聴いていましたね。英会話のレッスンテープを聴くような気持ちでしたよ。

── チェンバースのフレーズ自体もかなり練習しましたか?

k_088.jpgはい。マイルス・デイヴィスの『クッキン』や『リラクシン』(共に1956年)やソニー・クラークの『クール・ストラッティン』(1958年)といった、チェンバースが参加したアルバムもたくさん聴きました────ああ......(※学長、教室の書棚から本を取り出して)この本、泣けますよ。僕がチェンバースのベースをコピーする為に買った、彼の譜面本です。マスターした曲に丸印をつけてね。レコードを聴きながら、この本を見て弾いているうちに、譜面を読む訓練も出来ました。ほら、自分でコードを書き足していますよね(笑)。同じシリーズでロン・カーターやレイ・ブラウンの本も買って練習しましたけど、チェンバースのやつほどは汚れていないんですよね。

── おお、本当だ。

すごく研究していた。この当時は"勉強泥棒"とか言われたぐらい学校行っていませんでしたから(笑)。毎日12時間以上、一人黙々と弾き続けていた時代でしたね。

── その練習の成果は?

僕にとってジャズとはフィジカルトレーニングのイメージなんですよね。くつろいで、いわゆるジャズの雰囲気を楽しめるようになったのはようやく最近になってからでした。当時はほとんど筋トレのつもりでジャズを弾いていましたから。そうやってフィジカルから入って、メディテーションというか徐々に溶けて一体化していく。自分でも何が何だかよく分らなくなるまで入り込んでいましたね。

── ジャズ畑のベーシストでは、チェンバースの他に誰がお好きですか?

k_089.jpgジャコ・パストリアスとマーカス・ミラーですね。ジャコは超絶テクニックで語られがちですが、僕はやはり彼の歌心に魅かれました。マーカスはプレイとしてはさほど影響を受けてはいないんですが、とにかくあのパリっとした、それまで聴いたことの無かった音色に魅かれたんです。

── ちなみにチェンバースと言えばアップライトベースですが、学長も当時はアップライトを弾いていたのでしょうか?

いいえ。実はアップライトは東京事変のアルバム『大人』をレコーディングする際、椎名(林檎)さんからの「師匠、アップライト弾けばいいのに」というひと言で初めて弾きました。当時大学にあったジャズ研(※ジャズ研究会)の空気にイマイチ馴染めなかったので、弾く機会も無かったんです。あとはアブストラクト系のジャズにも全くハマりませんでしたね。

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