亀田大学

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2013/07/08

講義 11 ヨシュア・トゥリー/U2

-亀の音楽史-

講義 11 ヨシュア・トゥリー/U2

[講義] 世界クラスのモンスターバンド、その基準としての一枚。

── 学長、おはようございます。さて第11回目の教材はU2の『ヨシュア・トゥリー』ですね。時は90年代に差し掛かる頃にヒットした世界的大名盤ですね。

はい。後でお話しますが、当時の僕は"宅録"(=自宅録音)を始めたり、ユニットで音楽活動を始めたりするのですが、そうした一方でFMカメダ的なマインドが残っていたんですね。やっぱりチャートはチャートでとても気にしていて。チャートを賑わせているメジャーな音楽の、エポックメイキングな破壊力というものをすごく愛していた。このアルバムからシングルカットされた「ウィズ・オア・ウィズアウト・ユー」という曲がまさに世界的大ヒットを記録して。U2のことを初めて「カッコいい」と思った曲でしたね(笑)。

── 誤解を恐れずにぶっちゃけて言ってしまうと、このアルバム以前の彼らって、何と言うか、ポストパンク的な登場感と、アイルランドはダブリン出身のカラーが前面に出ていた分、今一歩アカ抜けた印象に乏しかったというか......。

そうなんです。だからこれ以前、ステージで旗を振って頑張っていた(※U2はアルバム『WAR(闘)』のツアーで非暴力主義と不偏を表明するために"白旗"を振るパフォーマンスを見せていた)あたりも、もちろんあれはあれでとても素晴らしかったんだけど、正直自分の中ではあまりピンときていなかったんです。ところが1984年、このアルバムの前作にあたる『焔』で、プロデューサーにブライアン・イーノを迎えて、時代背景としても様々なテクノロジーの進化に恵まれた。そういったいろいろな要素が実を結んで、この『ヨシュア・トゥリー』でついに開花した。バンドの音楽、ビジュアル、イメージが全て一変した。そんなアルバムでしたね。

── アルバムの全体的な印象について、もう少しお聞かせいただけますか?

ともかく曲のスケール感とサウンド自体の奥行きが一変しましたね。僕の大好きなロックの、ひとつの理想型です。ギターなのかシンセなのか分からない音が聴こえて、いろいろな要素が混在している印象を受けて。ストーンズやチャック・ベリーといった、いわゆるロックンロールの定番とは違うのだけれど、この上なくロックである音楽というか。ギターも歪んだサウンドだけではなくて。

── やはりプロデューサーであるブライアン・イーノの貢献が大きい気がします。学長にはこれまでナイル・ロジャースやクインシー・ジョーンズについてお話しいただきましたが、イーノについてはいかがですか?

僕はコールドプレイも大好きなので、自分の好きな音楽のパーツをかなり担っている存在だとは思います。やはり奥行きと空間と、ノイズ的なサウンドにしてもそうですね。たとえば今こうやってお話をしている空間でエアコンが鳴っていて、外からは車が通る音が聞こえてくる。密室にいれば、人の体内音が聞こえたりするじゃないですか。お腹が鳴ったりしてね(笑)。そういうリアリティのあるノイズを、スピーカーから鳴らす音楽の中にまとめ上げた天才なんじゃないかな。現在アンビエントと言われるジャンルも、彼の登場から派生していった気がします。僕はアンビエント・ミュージック自体にハマった経験はありませんが、存在意義や意味というのはとても理解できる。

     
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