第二回亀田杯 ベース選手権大会ライブレポート
去る2014年5月11日、東京・スパイラルホールにて開催された“第二回亀田杯 ベース選手権大会”。“ベースという楽器の魅力に焦点を当て、音楽の楽しさと出会いが広がる場”をテーマに、ベース・コンテストの公開ライヴ審査や、亀田とハマ・オカモト(OKAMOTO'S)とのトーク・セッション、そして河村"カースケ"智康を加えたガチンコのライヴ・セッション、さらに第一回亀田杯のグランプリである目黒郁也の演奏など、盛りだくさんの内容だ。会場のロビーには“ふれあい広場”として、亀田とゆかりのある楽器メーカーが集結、楽器の試奏を行なえるブースやベース無料診断コーナーが設置され、多くの来場者で賑わう。会場はまさに“ベースのお祭り”といった様子である。
この日は“第二回亀田杯 ベース選手権大会”からスタート、300通にも及ぶ応募のなかから選ばれたファイナリストは8名で、ステージ上で課題曲を実際に演奏するというライヴ審査が行なわれた。さらに、課題曲に加えて自由曲という追加ミッションが課せられたが、そのテーマは“母”。ファイナリストたちはさまざまな形でこのテーマに取り組み、それをベースで表現した。亀田誠治とベース・マガジン編集長 近藤隆久の審査によって選ばれた今回のグランプリ受賞者は、最年少参加者である12歳の山本修也。グランプリ受賞者は、亀田がプロデュースを手がけるDo As Infinityの新曲レコーディングに参加する権利が与えられる。山本修也にとっては、さらなる大きな課題でもあり、未来へつながる大きな一歩となるはずである。
『亀子の部屋』出前スペシャル~ベースよろず相談所~では、亀田とハマのトーク・セッションが白熱、亀田がベースを持ち出し、メトロノームを使った練習法や考え方を実演するといった実践的な話もあり、そして笑いあり、ふたりの関係性をより深めるトークが展開された。そのあとには亀田とハマ、そして河村"カースケ"智康によるセッションが開始。彼らが選んだカバー曲はThe Beatles「Come Together」、The Meters「Cissy Strut」、そして、Cream「Crossroads」の3曲。事前のリハーサルよりもベースのソロ回しの回数が増えるなど、お互いが共鳴し合うセッションとなった。グランプリを獲得した山本修也の今後の活躍や、第三回亀田杯の開催など、未来につなげていきたい、有意義なイベントであった。
文 近藤隆久
第2回亀田杯 グランプリ受賞者
グランプリ受賞者 山本修也さん
亀田
もう、こういった世代が生まれていることに喜びを感じます。ベースがとても上手で、これから手も体も大きくなることで、自分でコントロールできることが、もっともっと広がっていくと思うんですけど、何よりも作曲能力が素晴らしい。自由曲におけるフレーズの作り方/作曲能力が、彼の真骨頂だと思います。本当に涙が出てきますね。僕が12歳の頃はというと……自分の部屋でFMカメダという放送局を開設していましたが(笑)、楽器はまだやっていなかったです。このままずっと、音楽が好きなままでベースを続けてほしいですね。
近藤
その堂々たるパフォーマンスは、年齢なんて関係ない、ということを痛感させられました。奏法のスタイルとしては、ラリー・グラハムやマーカス・ミラーなどを彷彿させる、いわゆる王道のスラップ奏法、少し上の世代からは“チョッパー”と呼ばれるスタイルです。それを武器に、堅実にリズムを捉えているのが印象的でした。加えて最も感動した点が、音の強弱を含めた細かなニュアンスを、指のタッチで絶妙にコントロールしていることで、それによる表現力が素晴らしかったです。
ファイナリストたちによる公開審査ライブ

亀田

今回の自由曲は“母”というテーマでしたが、型にハマらない、ファンキーなプレイが素晴らしい! それこそ、70年代には“マザー・ファーザー・シスター・ブラザー”っていう名前のファンク・バンドもありましたし、実は“家族”や“お母さん”って、ファンクとは切り離せない関係なんです。そういった雰囲気を見事にエグッて表現していく姿がカッコ良かったです。あと、唯一、ベースに加えて歌も歌うという、声を含めたパフォーマンスだったので、実際に生のプレイがどうなるのか、とても楽しみにしていました。

近藤

親指のスラッピングで図太く重心の低いグルーヴを作り出し、サムピングでアクセントとつけるという、“ウネリ”のあるフレージングが彼の大きな魅力だと思いました。さらに、スキャットに近い“歌”を同時に聴かせる点が斬新。加えて、観客を挑発するどっしりとしたパフォーマンスも痛快です。スタインバーガーのシナプス・ベースという機材の選択からも、“誰にも似ていないことをやってやろう”という気概が見て取れます。彼の存在感こそが、本大会の空気を変えましたよね。

亀田

課題曲では、スラップ奏法を使った細やかな表現力が素晴らしかったです。そして、自由曲ではオープン・チューニングをしたうえでカポも使うなど、そういったアイディアを取り入れている点が良くて、その効果を活かした、フレーズの響きが良かったです。さらに、演奏の途中でカポを投げましたよね? その瞬間にドキッ!としたんですけど、そういったパフォーマンスやダイナミックな表現力が最高でした。しかも、演奏の途中に審査員席をチラッと見て、ウィンクする余裕もある(笑)。僕もウィンクで返しました(笑)。

近藤

スラップとは、得てして打楽器的なアプローチになってしまいますが、清見さんはとてもメロディアスなスラップだと思いました。高域から低域までレンジの広いきらびやかな音作りが耳を引きますが、高い音域に行っても決して軽い印象にならずに、しっかりとボトムを効かせていた点が素晴らしいです。さらに、カポを使用するなどのアイディアを取り入れる点も、柔軟な彼の人柄から生まれているのかもしれません。奏法も含めて場面展開を考え、観ている人を飽きさせないパフォーマンスだったと思います。

亀田

まず、指先の動きが本当になめらかですね。爪の垢でも煎じて飲ませていただきたいです(笑)。そして、ステージ上では目をつぶって穏やかな表情で演奏されていて印象的でした。自由曲では、“お母さんに対する感謝の気持ち”を表現されたということでしたが、曲の後半で、なめらかなタッチで音を紡いでいく弾いていく場面では、“ありがとう”を五千回くらいっている音数でしたよね(笑)。でも、その一音一音が本当にキレイで素晴らしい。強弱をつけるタッチが繊細で、つややかでした。

近藤

まずは、その運指に惚れ惚れしたのと、まるで肉声のようで、歌を聴いているようなサウンドに驚きました。そして、指板の隅々までをフルに活かし、幅広い音域を一気に駆け抜ける姿に、思わずため息が出ます。小林さんの場合は、単なる超絶技巧という意味の“テクニック”ではなく、音の強弱やスライドのニュアンスなどを的確にコントロールし、フレーズ自体に起承転結をつけるための“テクニック”を身につけているのでは? 結果、ベースの音色を自分の“歌声”としてアウトプットしているのだと思います。

亀田

課題曲は“ピック弾き”でしたが、僕の作ったフレーズを、ペンタトニックなどを織り交ぜて、さらにロック・スピリット溢れるフレーズにしてくれていて、とてもカッコいいと思いました。実は、第一次審査の際に、一発で聴き惚れたんです。そのあとに書類を見て“ん? 40歳!?”って思いました。応募してきた写真が、嘘みたいに若かったんです(笑)。それは余談ですが、ピックっていうコンセプトをうまく表現していましたし、今回も群を抜いた個性を発揮してくれて、僕も大好きなプレイです。年齢は関係なく、すごい可能性を感じます。

近藤

ピック弾き特有の、アタッキーでドライブする部分も気持ちいいですが、単に勢いやリズム感を強調するだけでなく、楽曲としてちゃんと聴かせることを最も重視しているように感じました。さらに、リフの合間合間に性急なフレーズを素早く差し込むのですが、それがまったく不自然ではなく、むしろグルーヴにしっかりはめ込んでおり、“まるで、作曲の段階からそのフレーズが存在していた”かのように聴かせる点が持ち味だと感じました。

亀田

原田さんは前回もファイナリストとして残った方なのですが、今回の自由曲についても、とてもメロディアスですよね。原田さんが曲を作ると、ベース1本でも、ちゃんと“サビ”がある感じに聴こえるです。要は、口ずさめるラインなんです。そのコンポーザーとしての能力と、あとはなんといっても“歌心”ですよね。人を幸せにしようとするオーラというか、そういった音楽を作ってくれている。あとは和音を織り交ぜたプレイも素敵ですし、アンプ直のサウンドで潔く勝負している点が素晴らしいと思います。

近藤

楽曲のなかでの起承転結をしっかり意識しているプレイだと思いました。自由曲でもそうでしたが、和音でコード感とメロディを聴かせるセンスが秀逸で、それは、単にベース・サイドから楽曲を観ているのではなく、音楽全体のなかでのベースの立ち位置を意識する視点を持っているからこそ実現できる重要なスキルだと思います。それがフレーズ作りに生きているのです。コンポーザー/プロデューサーでありベーシストである、という思考回路が、原田さんの一番の特徴だと思います。

亀田

今回のファイナリストのなかでは紅一点なんですけど、第一次審査は動画で応募してきてくれていて、これがまた、本当に楽しそうで、幸せそうにベースを弾いているんですよね。それを観たときに、“幸せオーラ”が全開というか、そういった思いを、彼女はベースで伝えたいんだろうなって感じたんです。周りにいる人が楽しくなるベースなですよ。あとは、基本的にはスラップがメインで、そのスタイルに振り切っていることが素晴らしいなって思います。何より、プレイが正々堂々としていますよね。

近藤

とにかく楽しそうに弾いていて、それが観ている側にまで伝わっていく様子を、審査員席からも感じました。あとは、派手なエフェクトや、生音をブーストするような仕掛けはまったくなく、スラップする際の弦の叩き方や右手のニュアンスまでが隅々まで伝わってくるような音作りに好感が持てました。また、一音一音を鳴らす際にもまったく迷いがなく、その人自身の素の部分をそのまま表に出している印象です。それを笑顔で伝える点から、“音を楽しむ”という原点を思い出させてくれました。
RIKIYA
RIKIYA

亀田

応募いただいたときの音源からも感じていたんですけど、課題曲におけるスラップのグルーヴが素晴らしくて、音符と音符の“間”みたいなものがズシンときたんです。なので、生演奏ではどのようにプレイされるんだろうって楽しみにしていたのですが、やはり、グルーヴがずっしりしてて。演奏するときは、フレージングも大事な要素なんですけど、とにかくノリをしっかり出すことに命をかけているいる気がしましたし、僕が大好きなベースのスタイルです。あと、自由曲でベースを1本で表現されていましたが、ピッキングの強弱で人をハッとさせる瞬間を作るという、表現力豊かなプレイも素晴らしかったです。

近藤

ベーシストに限らず、プレイヤーとして重要な要素のひとつに、“立ち姿”が挙げられると思います。Rikiyaさんからは“ステージに立つ”という意味をしっかり意識していることがヒシヒシと伝わりました。プレイ面においては、ドライブするリズムが気持ち良く、普段から人と音楽を合わせるという現場感覚を肌で感じているからこそ出てくるグルーヴだと思います。立ち姿だけでなくプレイも魅せるという、良い意味で単一のイメージに縛られない新しい“ベース・ヒーロー”だと思いました。
第1回亀田杯グランプリ 目黒郁哉スペシャルLive
「亀子の部屋」出前スペシャル!~ベースよろず相談所~

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